介護ではおなじみの評価指標であるバーセルインデックス(Barthel Index=BI)ですが、介護業界に入られたばかりの方ですと馴染みが薄く、あまり聞かない単語です。今回は、昨今では実施計画書や加算の評価指標などで介護業界では常識の、バーセルインデックスについて記載いたします。

【バーセルインデックスとは】

食事や歩行、着替えなど、日常生活の能力、つまり日常生活動作を評価するための尺度の1つです。病院や介護現場では医師・看護師だけでなく、理学療法士や作業療法士、機能訓練指導員などが正確に要介護者や病気や障がいを持つ方の状況を理解するための国際的なADL(Activities of Daily Living)評価基準となっています。「どの程度回復したか」を判断する際に有効な指標です。

このバーセルインデックスはアメリカの医師Mahoneyと理学療法士Barthelによって提唱されたため、理学療法士の名前の一部をとって評価名がつけられました。
※ADL評価についてはこちらをご覧ください。https://caretree.jp/archives/10980

【評価方法と評価項目】

バーセルインデックスはADLに関する10項目について採点し、評価を行います。
項目は以下です。
1、食事
2、移乗(車椅子からベッドへ)
3、整容
4、トイレ動作
5、入浴
6、歩行
7、階段昇降
8、着替え
9、排便コントロール
10、排尿コントロール

これらの項目において、定められた一定の内容をクリアするかしないかが採点のポイントであり、評価の基準となります。

【判定基準】

各項目の判定基準は、「自立」「一部介助」「全介助」となっており、それぞれの項目にて個別に点数が設定され、全てクリアできると100点満点となります。獲得した総合得点によって生活全体に対する自立度を確認します。総合計の場合、85点以上は「自立」、60点以上で「部分自立」、40点以上「大部分自立」40点未満で「全介助」となります。
尚、バーセルインデックスにおける60点は「部分自立」「介助」の分岐点(カットオフ)と言われており、介護の内容を判断する上では大きな境目となっています。
各項目毎に設定された点数は以下の通りです。

 項目点数状態
1食事10自立(自助具などを自ら利用し食事できる。時間内に食べ終えられる 等)
5部分介助(食べる段階で切ることが必要、エプロンが必要だが自分で付けられない 等)
0全介助(経管栄養 等)
2移乗15歩行自立・自立(車いすに対して一連の移乗動作が一人で安全にできる、ブレーキ操作、向きを変える等の移動操作、フットレストの操作 等)
10軽度の部分介助または見守りが必要(声かけ 等)
5座ることは可能であるが、移動などはほぼ全介助(介助すれば立ち上がれる 等)
0全介助または不可能
3整容10自立(洗面、歯磨き、整髪、ひげ剃り、化粧 等)
0部分介助(歯磨き粉を自分で出せない、入れ歯の管理ができない 等)
不可能
4トイレ10自立(衣服の着脱、トイレットペーパーの利用、パットの自己管理 等)
ポータブル便器などの管理(使用、衛生管理)
5部分介助(自立での立位不可、衣服の着脱に介助、清拭動作に問題 等)
0全介助または不可能(トイレ動作がほぼ全介助、衛生管理不可、ベッドでのおむつ交換 等)
5入浴5自立(浴槽につかる、シャワーを浴びる、髪や体を洗う 等)
0部分介助・不可能(洗髪・洗体に介助が必要、転倒の危険性、機械浴 等)
6歩行1545m以上の歩行が一人で出来る ※補助具(歩行器・車椅子は除く)の使用可
10脇を支える介助や見守りありでの45m以上の連続歩行、歩行器の使用を含む
5歩行不能ではあるが、一人で安全に車椅子を駆動、45m以上の連続で移動できる
0上記以外
7階段昇降10自立(手すりや杖の使用も可)
5介助または見守りを要する
0不能
8着替え10自立(ファスナーの上げ下げも含む普段着の着脱、靴を履くなどの動作を時間内に行える)
5部分介助(標準時間内に行える、半分以上できる)
0上記以外
9排便コントロール10自立(便失禁なし、浣腸・座薬の取り扱いも可能、人工肛門の衛生管理が可能)
5時に失禁あり(浣腸・座薬の取り扱いに介助)
0上記以外
10排尿コントロール10失禁なし(尿器の装着や衛生管理も可能)
5時に失禁あり(尿器の装着や衛生管理に介助が必要)
0上記以外

【バーセルインデックスの特徴】

バーセルインデックスは「できる」日常動作10項目を採点し評価するという採点方法であるため、ADL評価が簡単で、判定にかける時間も短くて済みます。この点はメリットであり、介護現場では特に使いやすい指標であると言えます。令和3年度介護報酬改定より「ADL維持等加算」の評価指標として、このバーセルインデックスが採用されています。
※ただしADL維持等加算の算定の際のADL評価にはバーセルインデックスを適切に評価できる「一定の研修を受けた者」という要件があります。参照:介護保険最新情報Vol.965

簡易評価であるがゆえのデメリットとして厳密な身体能力についての把握が難しいということが上げられます。動作に関して詳細な状況の把握を行いたい場合は、別途、動作についての詳しい記録が必要となるでしょう。また、微細な変化には弱く、改善が進んでいても的確な表現に当たらないということがあります。こちらも正しくケアを行っていく上では別途の記録で補うことが必要でしょう。

【バーセルインデックスを補う指標】

バーセルインデックスは別の指標と組み合わせて評価を行うことでより日常動作に関する状況を的確に表現できます。特に推奨されるのはFIM(機能的自立度評価表)だと言われ、バーセルインデックスが「できるADL」であるのに対し、FIMは「しているADL」の評価です。ただしFIMは18項目あり、バーセルインデックスよりも項目が多く採点方法に細かい規定がある為、扱いは簡単ではありません。

【生活機能チェックシートとの違い】

デイサービスなどの個別機能訓練加算で使用されている指標の生活機能チェックシートもADL評価を行いますが、こちらはIADL(手段的日常生活動作)評価なども追加され項目が多くなっています。また、個別機能訓練加算は興味・関心チェックシートもセットで利用する必要があります。尚、ADL維持等加算には指定様式がないため、この別紙様式3-2を利用することも可能です。
※厚生労働省
別紙様式3-1(興味・関心チェックシート)
別紙様式3-2(生活機能チェックシート)

【科学的介護への切り込み】

バーセルインデックスは介護サービスの向上を図るためのLIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用することが算定要件に含まれるADL維持等加算(Ⅰ)(Ⅱ)においては知っておく必要のある指標です。多忙な介護現場で短時間で比較的簡単に動作評価が行える指標であることで、最も身近かつ数値での管理ができるという意味では、科学的介護を行う上では入り口であると言えるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※介護保険制度の詳細については各自治体の介護保険制度の担当窓口にお問合せください。