介護では当たり前のように使用されているADLとIADLですが、いったいどんな指標なのかというとなかなか調べるのは大変です。ここでは、ADLとIADLについてご説明いたします。

【ADLとIADLとは】

ADLは、基本的な日常生活動作(Activities of Daily Livingの略)、IADLは、手段的日常生活動作(Instrumental Activities of Daily Livingの略)という意味です。
それぞれ解説します。

■ADL/日常生活動作(Activities of Daily Living)

具体的には歩くことや寝返り、起き上がり、着替え、食事、排尿、排便、トイレ動作、整容、入浴、階段の昇り降りなどの日常的な生活で必要な基本的な動作のことです。
評価方法は、FIM(機能的自立度評価表/Functional Independence Measure)、BI(バーセルインデックス/Barthel Index)の2つです。

■IADL/手段的日常生活動作(Instrumental Activities of Daily Living)

ADLよりも複雑な日常生活動作、つまり応用的な動作のことを示します。
単純に一つの行動ではなく、例えば、食事に必要な買い物をしに出かけられる、洗濯機の使用方法を理解して洗濯ができる、衣服を整理できる、外出する、電車やバスなど公共交通機関を利用できる、電話応対がスムーズにできるなど、数多くのことが含まれます。
評価方法は、Lawton(ロートン)のIADL評価尺度、老研式活動能力指標、FAI(フレンチェイアクティビティズインデックス/Frenchay Activities Index)です。

【IADLの低下と人生の質(QOL)の関係】

年齢を重ねると様々な身体機能が衰えて、まずはIADLができなくなっていきます。IADLができなくなってくると、それに伴いADLも難しくなってきます。ADLが難しくなると日常生活が本当に出来なくなってしまいます。
つまり、IADLの低下を防ぐことがまずは重要だという事がわかります。
大好物のあれが食べたい、友達と話したい、映画を見たい、旅行したい、生きるための食事・趣味・家事・コミュニケーション、全ての欲求は複雑に日常動作が絡み合ってこそ成し得ます。
IADLこそ、人間らしい生活を支えるものなのです。

【IADLの低下を予防する】

例:IADL評価尺度
IADLは、1969年、アメリカの心理学者M・Lawton(ロートン)らによって発案されました。この、手段的日常生活動作尺度という評価法が確立して以来、手段的ADL=IADLという言葉が使われる様になりました。
Lawton式のIADL尺度は8つの項目から構成されていて、最終的に「スコアが高いほど自立に近い状態」ということを表します。

>8つの尺度

・電話使用
・買い物
・食事の準備
・家事(清掃、身の回りの片づけなど)
・洗濯
・移動
・服薬管理
・財産の取り扱いおよび管理

これらは単純そうに見えて、非常に複雑なタスク管理の元で実行されています。
低下を防ぐのに有効なのは、「栄養状態の改善、体操のような適度な運動」が基本となり、理解力や判断力も必要とされる複雑な行動、いわゆるこれら「デュアルタスク」のトレーニングをすることです。

IADL評価を行うアセスメントは他に2つありますが、まずは一つ、IADL評価尺度を例に取り上げただけでも日常で行う行動が如何に複雑に構成されているのか、奥の深い世界だということが分かります。

【まとめ】

予防介護や介護サービスは、IADLやADLの低下や進行を止め、維持、向上を目指したサービスが提供されています。人間らしい生活を自立して行うことは、複雑な動作の連続で実は簡単な事ではありません。老後を豊かに過ごし、人生の質(QOL)を保つことは幸せな事です。
日々の生活に感謝しながら、できることを意識していきたいものです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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