介護保険請求から記録、事業所・施設運用の基幹業務まで介護現場を支援するシステム

「介護ソフト(介護システム)」の市場は介護保険制度と共に成長してきた市場です。

介護保険制度では介護事業所運営を行う上での前提として、計画、記録、請求や報告、その他業務管理など、提供する介護サービス毎に多種多様な業務帳票が必要とされています。

「適切に業務を行うこと」「業務実績を記録することでその証明を行うこと」が責務として課されている介護事業所・介護施設様にとって、業務に役立つ書類でもありますが、その対応の複雑さから「介護事務業務(帳票作成)」は介護事業所にとっての大きな負担にもなります。

本来、利用者様のケアが最重要であるにも関わらず、「介護事務業務(帳票作成)」がその妨げになることも課題となっています。その負担を軽減することを目的としたシステムが「介護ソフト(介護システム)」です。

介護事業所・介護施設に合った「介護ソフト(介護システム)」を導入し、適切に活用することができれば、「介護事務業務(帳票作成)の負担を軽減」、さらに拡張された業務支援機能での業務効率化を行うことで、利用者様のケアに注力できる時間を増やすことができます。

本記事では、その概要をご紹介いたします。

【介護ソフト(介護システム)でできること】

基幹機能は大きく分けて2つに分類されます。
一つ目は【日々の業務内容を記録するための機能】
二つ目は【介護保険請求や利用者請求を行う機能】
です。

どちらも介護事業所や施設を運営するには必ず必要な業務を支援する機能で、書類のあるなしは監査で確認されます。適正に介護サービスが提供されているかを示す重要な書類になります。

多忙なケア業務の中で事務書類の管理にも確実性を求められるという大変な状況の中で、その負荷を軽減する「介護ソフト(介護システム)」の機能は、介護事業所・介護施設運営に関わる重要な役割を担います。

■日々の業務内容を記録するための機能

・利用者情報の管理
・ケアプランの作成、管理
・アセスメント・モニタリングの管理
・申し送り
・介護記録
・日報、報告書

■介護保険請求や利用者請求を行う機能

・介護保険請求(国保連合会インターネット伝送)
・利用者への請求書作成
・売上、入金の管理

【提供する介護サービスへの対応】

最終的に提供サービスを切り分けた形の介護請求対応が必要ですので、提供している介護サービス種類別の管理をする必要があります。
例えば、デイサービスもヘルパーさんも利用している利用者様は、通所介護と訪問介護の両方で請求が必要です。また地域包括支援センターを通して予防を目的にデイサービスに通う方やヘルパーさんに生活支援を受ける利用者様は、総合事業などの予防及び支援型のサービスでの請求となります。

介護サービス分類は以下になります。

 介護給付を行うサービス
都道府県が指定・監督を行うサービス
◎居宅サービス
・訪問サービス
訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導
・通所サービス
通所介護、通所リハビリテーション
・短期入所サービス
短期入所生活介護、短期入所療養介護
・その他
特定施設入居者生活介護、特定福祉用具販売、福祉用具貸与
◎施設サービス
介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院
◎居宅介護支援
市町村が指定・監督を行うサービス
◎地域密着型サービス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型老人福祉施設
 予防給付を行うサービス
都道府県が指定・監督を行うサービス
◎介護予防サービス
・訪問サービス
介護予防訪問介護、介護予防訪問入浴、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導
・通所サービス
介護予防通所リハビリテーション
・短期入所サービス
介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護
・その他
介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防特定福祉用具販売、介護予防福祉用具貸与
市町村が指定・監督を行うサービス
◎地域密着型予防サービス
介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護
◎介護予防支援

※その他、居宅介護(介護予防)住宅改修、介護予防・日常生活支援総合事業があります。

それぞれのサービス特性に見合った機能が用意されています。各社操作性には違いがありますので、一度体験版で操作をされてみることをおすすめいたします。
例)老人福祉施設の機能:食事の管理、居室の管理、LIFE対応など
  訪問介護の機能:訪問スケジュール管理、訪問担当者設定など

【介護現場の課題解決】

介護現場では、日々多忙なスケジューリングをこなす中で様々な問題があり、課題として浮かび上がります。洞察力向上、接遇や介助テクニックなど、人によるものはなかなか解決が難しいのですが、業務上の書類周辺の問題(事務作業)であれば「介護ソフト(介護システム)」で確実に改善ができることが多くあります。

最も急先鋒として挙げられているのは、「紙が必要な業務のICT化(ペーパーレス化)」です。
紙で行っていた帳票管理を行うことで様々な業務効率化を行うことが出来ます。

・入力作業の効率化

「介護ソフト(介護システム)」を使用した書類の記載では、キータッチでの入力の効率化を始め、様々な入力支援機能を活用することができます。予測変換、一括入力、コピー&ペーストなど基本の入力方法のほか、音声入力に対応したシステムなどもあります。
iPadなどのタブレットやスマホに対応したシステムなら、場所に関わらず、入力することも出来るので、隙間時間を活用した効率化も出来ます。

・転記作業の削減

紙での業務管理を行う際は、同じ情報を複数の帳票に転記する必要が多くありましたが、「介護ソフト(介護システム)」では1箇所にデータ登録することで、同様内容があてはまる記載箇所にも確実にデータが読み込まれるといったことが出来るので、転記作業(及び転記ミス)が削減が出来ます。

・情報管理、共有の効率化

クラウド型の「介護ソフト(介護システム)」であれば、各端末(パソコン、タブレットなど)で登録した情報は「瞬時に情報共有」が可能です。
インターネット端末があれば、どこでも情報を引き出すことができ、請求、記録、報告などの情報共有を効率的に行うことが出来ます。

このように「介護ソフト(介護システム)」を活用することで、紙で行っていた業務の負担を削減して、情報管理、共有の改善まで行うことが出来ます。

介護事業所・介護施設の残業が発生する理由の一つは事務作業が原因である場合が多いため、「介護ソフト(介護システム)」を適切に導入して、日々の書類に関わる業務を効率化することで残業削減も行うことが出来ます。

【介護ソフト・介護システムの種類と選び方】

まず、最初に選択する上では、システムが「クラウド型」か否かという事が挙げられます。
クラウド型はサーバーを施設内に置く必要がなく、インターネットさえあれば瞬時に情報を共有でき、入力したデータは即座に反映します。

システムのバージョンアップや、報酬改定への対応などのシステム更新・保守も自動更新で行われるため、個別端末毎の更新作業も不要で、手間がかかりません。また、データの保管はクラウド上で行われているため、万が一の災害などがあった場合、データの紛失・消失を免れることができます。

過去は介護事業所・介護施設側から、セキュリティ面への懸念も声に上がっていましたが、現在は「暗号化通信」「クラウドサーバーの高度なセキュリティ」「固定IPアドレスでのアクセス制限」などにより安全性への理解が進み、多くの介護施設がクラウド型のシステム導入を行っています。

対するもうひとつの型は旧来のシステムに多い「オンプレミス型」になります。事業所・施設内にサーバーを置き、データはそちらで保管します。施設内のネットワークのみにアクセスを制限することで、物理的なセキュリティが優れていますが、サーバーの故障でのシステム停止やデータ消失のリスクがあります。

システム更新を端末ごとに行う必要があること、使用端末が制限されること、サーバーの保守・メンテナンスに手間や費用がかかることなど不便な点も多いです。

簡易カスタマイズが可能なシステムもあるという点はメリットですが、大幅なカスタマイズには多額の費用がかかります。

先述したクラウド型システムのセキュリティ対策も高いレベルに至っている現在では、新システムの主流はクラウド型システムに移り変わっています。

【現場のICT化】

さらにICT化を進めるのであれば、介護事業所・介護施設で扱う複数のシステムとの連携を考える必要があります。
介護ロボットは昨今、導入補助金が用意されており、ベッドセンサーや各種センサー、ナースコール、バイタル計測システムなど多彩な業務支援システムがあります。

複数の介護業務支援システムが活躍することも増えておりますが、ただ複数のシステムを運用する環境では、システムや情報の多重管理の負担が発生することがあります。
これらの介護業務支援システムとデータ連携ができる介護ソフト・介護システムであれば、より職場環境は改善することができます。

【ケアプランデータ連携システム】

居宅系サービスであれば、ケアマネジャーとケアプラン、提供票のやりとりが必要になります。

・厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1096
( https://www.mhlw.go.jp/content/000986033.pdf )にてケアプランデータ連携システムの概要が公表されました。

厚生労働省は介護 ICT の利用の促進を進めており、「居宅介護支援事業所と訪問介護などのサービス提供事業所間における情報連携の標準仕様」が発表されています。
「標準仕様に準拠した介護ソフト・介護システムである必要」も条件に加わるでしょう。

【最後に】

介護サービスは、各種介護サービス毎に介護保険制度に則った業務の形があります。

基幹業務である計画、請求、記録に対応していることはもちろん、
介護事業所・介護施設の課題に対して、さらにどのような長所を持ち支援できるかが「介護ソフト(介護システム)」毎の個性と言えるでしょう。

短絡的に安い・高いで判断せず、介護現場の仕事のスタイルが「介護ソフト(介護システム)」の個性と合っているかを確認することが必要です。

システム内容の確認の方法としましては、
1.資料の確認(WEB・パンフレット・出力帳票・導入事例)
2.デモンストレーションの体験(オンラインデモも有効)
3.体験利用(クラウド型ならすぐにシステムに触れることが可能)
などを通して、「具体的な機能」「画面構成と使用の流れ」「効果」「使用感」をご確認頂くことをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございました。