看取り介護加算とは、利用者様の終末期において、医師の一般的に認められている医学的知見によって回復の見込みがないと診断された後に、ご本人及びご家族のご意向として看取り介護をご希望された際に、医師・看護職員・介護職員などが連携し、身体的・精神的な苦痛を緩和させながら生活支援を行い、看取りを行ったケアが対象となる加算です。
看取り介護加算(Ⅰ)と看取り介護加算(Ⅱ)があります。

【ターミナルケア加算との違い】

看取り介護加算とターミナルケア加算の違いは、点滴などの医療行為のケアや体制のあるなしが境界と言えます。
厚生労働省が、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスにおけるガイドライン」を公表しているため、こちらをご参照ください。
※厚生労働省HP https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/379272.pdf

【対象介護サービス】

4つの介護サービスで要件を満たした場合、算定できます。
・介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・認知症対応型共同生活介護
・特定施設入居者生活介護

【看取り介護加算(Ⅰ)算定要件】

1、看護職員、病院または診療所、指定訪問看護ステーションのいずれかの看護職員との連携を行い、24時間連絡できる体制が整っていること
2、看取りに関する指針を定め、施設への入所の際に利用者様とご家族に指針についての説明を行い、同意を得ている
3、看取りに関する指針について、医師、看護職員、ケアマネジャー、介護職員、生活相談員などが協議の上、適宜見直すこと
4、看取りに関しての職員研修を行うこと
5、看取りは個室あるいは静養室などを利用し、利用者様本人、ご家族、周囲の他の利用者者様に対して配慮すること

【看取り介護加算(Ⅱ)算定要件】

1、看取り介護加算(Ⅰ)の算定要件を満たしていること
2、利用者様に関し、配置医師と施設間で下記2点の具体的な取り決めがあること
・緊急事態が起きた場合の注意点や情報連携の方法
・曜日、時間帯別の連絡手段や診察依頼時間
3、複数名の配置医師がいる、または協力関係にある医療機関の医師が24時間対応できること
4、看取り介護加算(Ⅱ)算定要件の2、3について、書面にて届け出ていること
5、看護体制加算(Ⅱ)を算定していること

【看取り介護加算単位数】

・看取り介護加算(Ⅰ)

算定期間単位数
死亡日31日前~45日前1日につき72単位
死亡日4日前~30日前1日につき144単位
死亡の前日および前々日1日につき680単位
死亡日1日につき1,280単位

・看取り介護加算(Ⅱ)

算定期間単位数
死亡日31日前~45日前1日につき72単位
死亡日4日前~30日前1日につき144単位
死亡の前日および前々日1日につき780単位
死亡日1日につき1,580単位

【最後に】

看取り介護・ターミナルケアは、終末期に病院ではなく、住み慣れた自宅や施設で最期を迎えようとする方が多い中で厚生労働省もそれに対応し、環境整備が進んでいます。
自宅でお一人での生活が難しい方やご本人様の意思により住み慣れた介護施設で最期をお過ごしになるケースも増える中で、終末期のケアを行える施設の体制は重要性を増していると言えるでしょう。
人の生き死にという重大な局面の中で、体制だけではなく、衰弱が進む利用者様本人や深い悲しみに直面するご家族だけではなく対応に当たる職員様のメンタルケアも重要性が増しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※介護保険制度の詳細については各自治体の介護保険制度の担当窓口にお問合せください。

※こちらのコラムは令和6年度介護報酬改定の内容を反映いたしておりません。反映次第、こちらの注意書きを削除いたします。