【社会福祉法人駿府葵会(静岡県)様】の事例インタビューです。

●本コーナーでは「無料もしくは低コストのITを使って、お金をかけずに介護をより良くする活動」を行っている「NPO法人タダカヨ」さんにご協力頂き、「介護ICTに関する理解」と「介護職の知見」を活かした、ケア樹ユーザーインタビューを実施して頂きました。

社会福祉法人駿府葵会様は、2001年に設立され、静岡市内で幅広い福祉事業を展開されています。高齢者福祉や障がい者福祉に加えて、外国人スタッフの育成に力を入れており、技能実習生の受け入れや、語学力向上のサポートのため日本語学校も設立・運営しています。

現在、法人全体で35名ほどの外国人スタッフが活躍されているそうです。

駿府葵会様は地域に根付き、幅広い事業を展開している一方で、ケア樹を法人全体で同時に導入されました。どのような過程や課題解決を経て導入が進んでいったのか、今回は法人本部の村瀬様と、久能の里介護主任の塚原様にお話を伺いたいと思います。

社会福祉法人駿府葵会様のイメージ画像
中門さん
中門さん
(タダカヨ)

本日は宜しくお願い致します!
ケア樹の導入前やその背景については村瀬様にお聞きしたいと思います。
一方で、現場では実際にどのように導入していったかを、塚原様にお伺いしたいと考えています。
まず始めに、介護記録の電子化に取り組んだ背景からお聞かせください。

村瀬 ヤオミン様
村瀬様

長らく当法人は、全ての事業所で紙媒体での記録を行っていましたが、厚生労働省の推進もあり、ICTの活用を視野に入れていました。

塚原 惟人様
塚原様

紙の介護記録は管理に課題があり、現場としても遅れは感じていました。
量はもちろん膨大になっていきますし、細かい点での訂正や修正も面倒でした。
当時はそれが当たり前でしたが、振り返ってみると小さなストレスが多かったと感じています。

ケア樹導入以前の介護記録
ケア樹導入以前の紙の介護記録
中門様のアイコン写真
中門さん
(タダカヨ)

記録だけではなく、普段意識せずに行っている事こそ、そのストレスに気づきにくいかもしれませんね。
他のサービスも検討されたとの事ですが、ケア樹に決めた理由は何だったのでしょうか?

村瀬 ヤオミン様
村瀬様

1点目は、介護記録も請求業務も両方行えるという点です。
私達は、法人全体で同時期に電子化を進める計画でした。そのため、介護記録と請求業務の両方を効率的に行えるケア樹は理想的でした。
2点目は、低コストで利用できる点です。国の、ICT導入補助金も後押しとなりましたが、ケア樹は他社に比べて毎月の利用料がかなり抑えられる点が魅力でした。

中門さん
中門さん
(タダカヨ)

請求業務と介護記録を、どちらも効率よく電子化を進められる事が大きなポイントになったのですね。
いずれ電子化を進める事になるなら、補助金制度を活用しない手はないと思います。
それでは次に、ケア樹を実際に導入された当時に課題となった点を教えていただけますか?

塚原 惟人様
塚原様

タブレットやパソコンの操作に慣れていない年配のスタッフは、抵抗感や不安を感じる方が多く、最初は電源の入れ方から教える事もありました。
しかし、ケア樹はシンプルで使いやすく、タブレット用の介護記録アプリはスマホに近い感覚で操作が出来たようです。
分からない事があると、その都度スタッフ同士で教えあいながら、「大丈夫」「できる」を少しずつ積み上げていきました。その結果、1~2か月で慣れる事ができ、今では「もう紙の記録には戻れない」と話しています。

ケア樹を使用している様子
ケア樹導入以前の紙の介護記録
中門さん
中門さん
(タダカヨ)

介護記録アプリの操作が「スマホの延長線」感覚でスタート出来ると思うと、操作面が心配な方のハードルも下げてあげられそうですね。
全体的に操作の習得が進んでいき、その後はいかがでしたか?

塚原 惟人様
塚原様

導入後しばらく経ってから明らかになった課題がありました。法人全体で一斉にケア樹を導入した結果、各フロアでの記録方法がバラバラだという事が分かりました。
入居施設で、フロアやユニットが多いため、それぞれのスタッフが異なる方法で記録していた事が、委員会など各部署が集まる場所で発覚したのです。それからは話し合いを重ねて統一しました。

中門さん
中門さん
(タダカヨ)

ケア樹の導入に伴って統一された記録方法が、効率的な運用に繋がったのですね。
規模の大きな入居施設でケア樹を導入する方へ、ぜひ共有したいポイントです!
他に、ケア樹を導入して感じたメリットはどのような事がありますか?

塚原 惟人様
塚原様

以前は、出勤時に担当利用者様に関する情報を紙の記録で確認して、体調不良者など必要な情報を抜き出していました。
しかし、数十名に及ぶ利用者様がいるため、業務開始前に確認するのはかなりの時間と手間がかかっていました。ケア樹を使う事で、必要な情報だけをピックアップして確認ができるようになり、時間短縮に繋がりました。

利用者様のケアの傍らで、ケア樹を使い介護記録を入力
利用者様のケアの傍らで、ケア樹を使い介護記録を入力
塚原 惟人様
塚原様

その他は、スタッフ同士の連絡や情報共有も改善されました。
以前は、スタッフへの連絡事項は各フロアに電話で伝えたり、それぞれのフロアの申し送りノートに同じ内容を書いて回ったりしていました。しかし、ケア樹ならどこからでも操作ができるため、連絡事項を記録してスタッフに各自で確認してもらう事が可能になりました。

中門様のアイコン写真
中門さん
(タダカヨ)

規模の大きな施設だからこそ得られたメリットですね。
ケア樹の使いやすさが、スタッフ同士のコミュニケーションや情報共有の改善を叶えたのですね。

駿府葵会様は、技能実習生の受け入れ外国人スタッフが多くいる事も特徴かと思いますが、その背景や、ケア樹の活用はどのような影響があったかを教えていただけますか?

村瀬 ヤオミン様
村瀬様

当法人は2019年から技能実習生の受け入れを始めましたが、日本語の語学力が大きな課題でした。さらに、慢性的な人材不足という課題もあり、自分達で日本語が出来る介護スタッフを育成するため、日本語学校を設立することになりました。

駿府葵会日本語教育学苑
駿府葵会日本語教育学苑
塚原 惟人様
塚原様

介護の専門用語なども理解しながら記録もこなす事は難しいと思います。また、スタッフ同士のコミュニケーションも重要です。
紙の記録だった時は技能実習生はまだほとんどいませんでしたが、今いる外国人スタッフも日本語が完璧という訳ではありません。そのため、ケア樹を使う事で、項目を選択するだけで入力や記録ができる便利さは非常に大きいと思います。

中門さん
中門さん
(タダカヨ)

皆さんの日々のサポートはもちろんの事、外国人スタッフにとってケア樹も頼りになるツールになっているのですね。
最後に、今後のICT活用への想いやチャレンジしてみたい事を教えていただけますか。

塚原 惟人様
塚原様

今、様々なツールが登場しておりどれも興味深いです。インターネット環境などの現実的な課題はありますが、ICT活用が進む時代にしっかりと付いていきたいですし、今後もさらなる効率アップを目指していきたいです。

村瀬 ヤオミン様
村瀬様

記録の時短はケア樹で進める事が出来たと思いますが、スマートトイレのように自動で情報収集し、反映・記録がされるようなツールも導入できればと考えています。
人材不足という課題もありますし、より効率的に、またスタッフの負担を軽減できるようにしたいです。

中門さん
中門さん
(タダカヨ)

今後もますます、新たな活用を進められていけそうですね。
数多くの事業所の一斉でのケア樹導入、また外国時スタッフの方のサポートや育成について、興味深いお話をありがとうございました!

■村瀬様のプロフィール
村瀬 ヤオミン様
村瀬 ヤオミン
役職  :課長
仕事内容:システム導入、採用担当、補助金申請、日本語学校の管理等
趣味  :読書、旅行
■塚原様のプロフィール
塚原 惟人様
塚原 惟人
役職  :久能の里新館 介護主任
仕事内容:新館(ユニット型)の入居者の状況把握、対応。職員の相談、指導。会議の参加、伝達。本館(多床室型)との連携の橋渡し。
趣味  :スポーツ観戦
<写真提供等でご協力いただきありがとうございました。>
■Y様のプロフィール
Y様
Y様
仕事内容:施設ケアマネ
趣味  :旅行、スポーツ観戦(野球はヤクルト、サッカーはエスパルス)
■インタビュアーの中門さんのプロフィール
写真 中門 千恵子

中門 千恵子(所属:NPO法人タダカヨ)
福祉系専門学校卒業後、介護職員やケアマネジャーとして様々な施設で勤務。福祉系パラレルワーカーを目指し、現在は訪問介護ヘルパーとして勤務しながら、介護保険外の個人ヘルパーとしても活動。現場で、書類の多さや職員のコミュニケーション、ITツールの課題に直面した経験から、ITの導入で介護業界で働く人達の力になりたいと思いタダカヨに参画。
介護福祉士、ケアマネジャー。

NPO法人タダカヨ
「ITを上手に使って、お金をかけずにより良い介護へ」のビジョンの元、介護業界のIT活用を支援するNPO法人です。
https://mmky310.info/