介護現場のICT化やDX化という話では、タブレットの活用という話がよく出ます。
タブレットの機種をどれかに決めなくてはならない時、種類が沢山ありすぎて、お困りの経験はないでしょうか?

今回は、タブレット導入を考えておられる介護サービスの現場責任者の方、端末の選定に悩んでおられるご担当者様に向けて以下3つをわかりやすく解説します。

  1. タブレットを導入する際の克服すべき課題
  2. タブレットで何が変わるのか、現場の業務が効率化できるのか
  3. 介護現場でのタブレットの選び方

介護現場でタブレットが使われ始めたのは、ここ10年程度です。

残念ながらタブレットを導入しても、結局ペーパーレスにならず、「入力は紙の方が早い」などという職員の不満が出ているところもあります。反対に、その中で成功事例も多く見られます。

政府の方針もあり、今後とも介護業界ではICT化の促進は続くと思います。
この記事がお客様の介護ソフトの選定に少しでもお役に立てばと思います。

【1.タブレットを導入する際の克服すべき課題】

・スマホかタブレットか?介護記録を楽にするには

国はICT化を推進しておりますが、まだ、紙で介護記録を取られている事業所も多いと思います。紙で記録された介護記録を、別の介護システムに再度手入力するのですから、これは大変な手間です。

記録票の枚数は、施設では月に1000枚単位で発生するため、この記録票の整理と入力作業は大きな負担です。
特に、生まれながらにパソコンやスマホがあった世代などは、介護記録を電子化して、この重複した入力の手間を省くことができたら、どんなに楽になるかと考えてしまうのが普通のようです。

しかし、デジタル機器に慣れていない人にはデジタル機器を含んだ新しいルーティンに変更することは心理的にも身体的にも大きな負担になります。

介護記録を電子化するのであれば負担という面を考慮しながら、進めることが大前提となります。

・その場で入力、タブレットとスマホの共通するメリット

紙からの転記からの手入力という手間をなくすためには、「ケアを行ったその場で」端末にケア記録を入力するということができなくてはいけません。

ここが大きなポイントになります。「ケアを行ったその場で」ということは、介護職員、ヘルパー等ケアに関わるスタッフ全員が入力できる端末を常に持ち歩くことができ、かつその場で迷うことなく入力できなくてはいけないということになります。

入力作業が必要な職員の方が使いこなせなければ、結局タブレットを導入しても使われずに放置され、結果的に紙の入力記録に戻ってしまうということも多々起きています。

では、介護に関わるスタッフにとって、一番慣れている電子端末は?と言えば、やはりスマホです。自分が毎日触っているものなので、操作方法も慣れています。

システム的に見て、入力された結果のデータは、スマホ経由であろうがタブレット経由であろうが結果は変わりません。

そして、ケアをしたその場で入力できるという最大のメリットも、ポータブルという共通点があるためにタブレットであってもスマホであっても変わりません。

スマホかタブレットか、介護の現場を楽にする端末は何かを考える時には、施設の職員又はヘルパーの方がどこまで使いこなせるか、また、使う場合には入力の他ではどんなことで使うのか、セキュリティーに関するやりやすい運用方法なども考えながら現場に一番合致した使いやすい端末を選択することが介護記録の電子化を成功させるポイントになります。

【介護現場でタブレット活用するデメリット:克服すべき課題】

現実に介護現場でタブレットを導入しても、職員での間の評判が悪く、結果的に使われず、紙入力に戻ってしまったという話も聞きます。

これはタブレットの入力をする手間暇に比べれば、これまで通り、紙に手書きの方が結果的にずっと早いという思いのある方が多いということが挙げられるからです。

つまりタブレットを導入することが現場の業務上のデメリットだと考えられているわけです。

確かに、タブレットを活用するために介護事業所が乗り越えなければいけないハードルというのはいくつか存在します。

【タブレットの操作に慣れ、習熟する時間がかる】

タブレット入力に慣れていない、入力が思ったより遅い、これなら手書きの方が早いという問題です。確かにタブレットでの入力には、多少の「慣れ」が必要です。

しかしどんな新しい技術でも、取り入れてこれまでに慣れたやり方を変えるという場合には、必ず「前の方が良かった!」という人はいます。これはどの会社、どの業界でも同じです。

そして、このような「前の方がよかった!」という意見は、使ってみて便利さが実感できれば自ずと解消されます。

新しい仕組みに変えた場合、自分達にとってのメリットがあるのか(残業時間が減る、業務が楽になる)を理解してもらうことが重要です。

また、新しいやり方に慣れるための「トレーニング」は必要です。事業所全体で「教えあう」「わからないことを気軽に尋ねることができる」仕組みと雰囲気をつくれば、このような問題は解決することができます。

【タブレットの数は何台必要?維持管理はどうしたら?】

タブレットの良いところは、共有することができることです。必ずしも一人一台でなくとも、各現場の必要単位で購入することで設備費用を安く抑えます。購入費はパソコンより安く済むことが多いです。また、持ち歩きもでき、キーボードもないので場所を取りません。例えば、各ユニットごとや、業務に関わる部屋ごと(デイサービスを提供するホールや入浴前の脱衣場等)など、事業所や施設の現場に合わせて置いておき、緊急で足りない時は他の諸室のタブレットを必要な場所へ持って行って入力作業を行います。画面がある程度の大きさなので、周囲のスタッフみんなに見てもらいながら操作できるので操作に慣れるまでの不安は少なくなります。

タブレット導入のデメリットは維持管理、つまりバージョンです。いくら安いからと言って中古で購入すると、アプリやソフトが対応していないかなり昔のOSである場合があります。購入の際にはかならずアプリやソフトが対応できる最新バージョンにアップデードが可能であるか確認をしてください。また、購入後はシステムアップデートがありますので、使用するソフトウェアやアプリが最新バージョンに対応しているか確認しながら更新をかける必要があります。

新品で購入する場合には大容量のタブレットを購入してしまうと高くつくことがありますので、節約の為には本体に保存するデータについてはあらかじめ運用ルールを決めておくことが大事です。データだけでなく使い方についても、タブレットを置く定位置ごとの運用ルールはあらかじめ考えておく必要があるでしょう。

【2.タブレットで何が変わるのか、現場の業務が効率化できるのか】

・介護現場ですすむタブレット活用と導入効果

では実際、介護の現場でのタブレット導入は進んでいるのでしょうか。

令和4年に独立行政法人福祉医療機構が公表した「2022年度特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善に関する調査結果」によれば、タブレット端末・スマートフォンの業務への導入状況は、「導入している」施設が56.5%となっています。

また、タブレット端末・スマートフォンの業務への導入効果に関しては、「施設内で連携しやすくなった」が60.4%と過半数を超えています。

※出典:2022年度特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善に関する調査結果(P60-61)

また、タブレットを導入した効果ですが、独立行政法人福祉医療機構が少し前の平成30年に公表した社会福祉法人経営動向調査(平成30年6月調査)では60%の施設がタブレット端末を導入して良かったICT機器と例に上げており、それら導入した施設の、75%で導入目的を達成したとしてタブレット端末を「導入してよかった」と高く評価されています。

※出典:社会福祉法人経営動向調査(平成30年6月調査)

このように、ここ数年については、タブレット端末もしくはスマートフォンのようなスマートデバイスを利用した業務改善は、多くの場合、好意的に受け止められていることに間違いはありません。

それでは実際にどのようにタブレットが介護の現場で活用されているか見てみましょう。

【老人ホーム・施設でのタブレット活用は介護記録と請求業務】

最も期待されている使い方としては、タブレットを活用して介護記録業務から紙をなくしていく「ペーパーレス化」へ向けた使い方です。大きな施設での見守りシステムで利用するパソコンの、補助端末としてタブレットを利用している施設がありますが、やはり介護記録から請求業務に至るまでを紙をできるだけ無くして情報の一気通貫でシステム化、デジタル化するというところを主眼におかれている施設が多いです。

システムを導入し、タブレットで介護記録を入力し、記録をデジタル化した場合どのようなメリットがあるでしょうか。

まず紙の記録を、介護ソフトや介護システム側に手入力するという日常の業務がなくなります。検温や排泄、食事や入浴の状況等を現場のその場で入力して直接介護ソフト側に反映できるため、記録は正確です。チェック機能を搭載している介護ソフトや介護システムも多いので月末の確認チェックのための時間も省けます。介護記録から請求へデータを一気通貫で渡せることによる介護事務のメリットは大きく、月の残業時間に換算すれば何十時間の節約にもつながります。

しかしメリットはそれだけに留まりません。 紙というのは予想以上にスペースを取ります。介護記録は5年間の保管期限があるため、保管スペースは無視できない広さになります。

しかもトラブルが発生した際に、利用者様の過去の記録を探す時、紙の記録を辿って探すのには、相当な時間がかかります。誰の記録がどのファイルにあったか、職員とスタッフの記憶と時期についてのヒントだけが頼りです。

つまり、タブレットを利用して介護記録を全てデジタル化するというメリットは、入力の手軽さだけでなく、紙の保管スペースを減らす事、過去の記録の検索がしやすくなることです。正確に覚えるのは難しい記憶や一部の職員の経験だけに頼って利用者様への介護支援をするのではなく、簡単に過去の記録を引き出すことで今のケアに繋げることができます。正確な記録に基づいてより利用者様の個別の状況に沿った支援ができるようになることで、利用者様の満足度を上げたり、新しくやり方を工夫したりということができるようになります。情報の活用がしやすくなることで、過去の処置を学びやすくなり職員の経験値も増えやすくなります。

また情報共有が簡単になるというメリットも大きいです。紙の場合、一枚の紙や一冊のノートを複数の人間で見るというやり方は、その日その時間に集まれる人数が限られているため、限界があります。掲示板も幅をとったり間違って消すなんてこともあります。また一か所にある紙の情報連絡を見に来るという移動時間で貴重なケアの時間を削ります。同じものをコピーして回覧するというやり方にすると、紙情報の紛失、散逸という個人情報に関するセキュリティー面を心配しなくてはなりません。

タブレットを使って介護記録を電子化すると、資料保管室やわざわざ事業所に集まらなくても、その場にあるタブレットを使えば必要な情報を、複数の人間で離れたところから共有することができます。常時ケアを続ける介護事業所では、スタッフ全員を一気に集めることができないため、こういったメリットは大変大きいです。

・被介護者への訪問で活用できるタブレット

2021年度の介護報酬改定で、居宅介護支援における「担当件数の逓減制」が図られました。逓減制の緩和について、ICT 機器の導入が「担当件数の逓減制」の緩和の条件になっています。 政府としても担当件数を増やし居宅介護支援事業所の経営を安定させたいということだと思います。

しかし、厚生労働省の実施した令和2年2月の Web アンケート調査によれば、居宅介護支援事業所でタブレットを持っている事業所は11%程度にとどまっています。

介護現場におけるICT環境の整備状況等に関する実態調査 概要

出典:令和2年2月14日~3月27日 介護現場におけるICT環境の整備状況等に関する実態調査概要

では居宅介護支援ケアマネジャーがタブレットを持つとどのようなことができるのか、参考になる事例を見つけましたのでご紹介します。

青森県にある小規模な居宅支援事業所様なのですが、 16年間、開業当初からケアマネジャー全員にタブレットを導入しています。

こちらでもケアマネジャーさんの居宅訪問のモニタリング時の記録を全てその場で入力できるというところに大きなメリットを見出されています。その場で記録を入力できなくとも、 訪問と訪問の間の隙間時間を使って入力をして、入力業務の効率を上げておられます。

また、訪問先に利用者様の山のような個人ファイルを抱えていく必要がなくなります。必要書類の印刷も最低限度になって、必要がないこともあります。複数の訪問をこなすケアマネジャーさんにとって、これは実は大きなメリットです。

ケアプランや利用票の確認を始め、福祉用具、デイサービスなど居宅介護サービス事業所のホームページや写真を見せながら説明することができます。認知症のチェックテストなどもインターネットが利用可能であればその場で実施することできます。

また、タブレットを使って写真や動画を撮影することで利用者様のそのままの状況を利用者様ご本人様、ご家族様と一緒に客観的に確認することができます。何か話題を提供したい場合も、アプリを利用することでちょっとしたエンタメなどに使うこともできます。

ケアマネジャーさん自身の業務効率化ということももちろん大きな要素ですが、タブレットを活用して画面をその場の少人数で同時に観ることで、利用者様の QOL を改善するためのいろいろな提案業務に使えるというところが大きいと思います。

・通所系リハビリ、デイサービスにおけるタブレット活用

タブレットでリハビリの様子を撮影し、利用者様ご家族に見せて説明する、定期的に撮影して改善の過程を見せる、リーフレットやパンフでは伝わりにくいデイサービスでの活動を伝える等、手軽なテクノロジーを使いなして利用者様ご家族とのコミュニケーションに活用されています。

タブレットを活用したリハビリとして、脳トレやゲーム等で活用しているデイサービスもあります。

【介護現場でのタブレットの選び方】

・介護現場で使いやすいのはどれ?正しいタブレットの選び方

では自分たちの事業所に合うタブレットはどのように選んだら良いのでしょうか。

タブレットと一口に言ってもいろいろあります。iPadからAndroid端末、サイズもキーボード入力画面が表示されるものもあれば、スマホとそれほど変わらないコンパクトなものもあります。

・8インチ/7インチ/6インチ? サイズで選ぶタブレット

現場で使うのにどのタブレットが良いか、大きな選択のポイントになるのはサイズでしょう。

7 インチ、8インチ、 6インチ等の表記がありますが、テレビ同様にこれは全てタブレットの画面サイズを表す言葉です。

一口にタブレットと言っても、小さなものでは6インチから大きなものでは12インチというパソコンと変わらないくらいの大きさのものまであります。※ 1インチは2.54cm

7インチタブレットとは、画面サイズの対角線の長さが 7インチ=17.78 cm のサイズを指します。7インチというのはあくまで画面サイズの対角線の長さのことであって、本体のサイズはこれよりもやや大きくなることに注意してください。

ディスプレイサイズ対角線の長さ用途・特徴
7インチ約17.78cm・タブレットにしては小型。
・手のひらに収まるサイズ。
・軽く、持ち運びに便利。
・低価格。
8インチ約20.32cm・持ち運びできる
・電車内で電子版の漫画・小説を読むのに最適なサイズ
・片手で持てる大きさ
10インチ
11インチ
約25.40cm
約27.94cm
・大画面で動画を楽しみたい人向け。
・電子版の雑誌を読むのにも最適。
・A4サイズの書類、帳票を一覧できる。
・画面からキーボード操作可能。
・重量はやや重い。長時間手で持ちながら使うのには不向き。
12インチ~約30.48cm~・分割画面も快適。
・高スペックな製品
・A4サイズの帳票を一覧できる。
・キーボードとマウスを接続して、2in1パソコンのような使い方もできる。
・画面からキーボード操作可能。

ここでサイズが重要になってくるのは、介護の現場で入力しやすいか、通常時の置き場所や使用用途上で使いやすいサイズかどうかに関わってくるからです。たとえばただの入力端末であれば小さいサイズの方が持ち歩きにいいのかもしれませんが、あまりに小さいと「文字が霞んで読めない」という方がいらっしゃったり、画面を共有して利用者様やご家族と一緒に複数人で覗きたい場合には小さすぎると拡大したところで表示範囲が少なく、何が書いてあるかよくわからないでしょう。

携帯性と軽さを重視するなら7インチタブレットのサイズはおすすめです。

7インチタブレットは、スペックも低くなっていることが多いのですが、その分価格も抑えられていて、2万円しない程度で購入できます。
逆にケアプランや利用票などの確認をしたいなど A4サイズをぱっと見て一覧してみたい場合、縮小して表示をするにしてもタブレットは多少大きめの方が良く、最低でも10インチぐらいは必要ではないかと思います。

どのような用途で誰が使うのかによって必要なタブレットサイズは変わってきます。

・介護ソフト・介護システムからタブレットを選ぶ

何を改善したいのか、つまり、最も重視するべきポイントが搭載されている介護ソフトや介護システムに対応しているタブレットは何か?という点から決めるやり方です。

タブレットを選ぶ場合には、使用の際に連動している介護ソフトや介護システムが頭の中にイメージとしてあると思います。

ではその、介護ソフトや介護システムは、タブレットの上ではどのようなOSの上で動くものなのでしょうか。

OS とはタブレットを動かす基盤となるシステムですが、メーカーによって採用するOS は異なっています。

タブレットのOSは、大別してiOS、Android、Windowsの3種類に集約されます。

iOSはアップル社が独自開発したOSで、ライセンスは非公開です。

これに対し Google社が開発し公開したOSであるアンドロイドは、ライセンスフリーで利用できます。このためメーカー側の開発の自由度が高く、多くのメーカーが採用した結果、端末の種類が非常に多くなっています。世界的に見ればAndroidはシェアが高いです。ちなみにAmazonのタブレットもAndroidを基本にしています。

自由に作れるということは、反面、リスクもあります。Android端末では不正な広告アプリや、ウィルスソフト、個人情報の不正取得などが起こりやすいので、利用者も備えが必要です。

今、検討している介護ソフトもしくは介護システムが、タブレットにおいてはiOSに対応しているのかAndroid に対応しているのか、まずここが大変大事なポイントです。

介護ソフトのメーカー側が対応するOSは、簡単に変わりません。利用する側からの要望に合わせて対応するOSを追加してくれ、ということはまず難しいとお考えください。これはメーカー側の課題でもありますが、それぞれの異なったOSに合わせてソフトウェアを維持していくことは、メーカー側にとってはかなり負担がかかることなのです。

ですからまず確認するべきは、使いたい介護ソフト・介護システムはどのOSで動くのかということです。逆に言えば、介護ソフトまたは介護システムを決めれば、使えるタブレットは、ほぼ決まってきます。

ご注意いただきたいのは、Android対応と書いてある介護ソフト・介護システムの場合でも、すべてのAndroid機種に対応しているわけではないということです。Android端末は種類が多すぎるため、介護ソフトメーカー側もテストが追い付いていないのです。その介護ソフト・介護システムが動作した実績のある端末を営業担当に聞くなどしてお選びください。

・端末の費用面からタブレットを選ぶ

導入する費用からタブレットを選ぶというのも一つのポイントです。 前章で申し上げましたが、 タブレットはメーカーが採用するOS によって、価格がかなり変わってきます。

iOSはアップル社が独自開発したOSなのでiOSの端末の料金は値下げはあまり期待できません。

これに対しGoogle 社が開発し公開したOSであるAndroidは、ソースコードが無料で使えるためメーカーは価格を抑えることができます。7インチ以下の小さなタブレットの場合、値段は2万円しないものもあります。

キャリアがキャンペーンで、無料で進呈と言っているタブレットはほとんどがAndroid端末なのはそれが理由です。

もう一つ費用面で考えなければならないのは通信費です。タブレットはWi-fi通信環境があるところでは通信費はかかりません。ですので例えば、介護事業所内でクラウド型の介護システムを使ってタブレットで入力をしたい場合、 施設内で利用する場所でWi-fi設備を整えることが必要です。

また居宅支援などケアマネジャーが介護施設の外にタブレットを持って持ち歩いて、 訪問と訪問の隙間時間に入力をするという場合は、外部の無料Wi-fiポイントはちらほらとありますが、使用しようとすると通信に安全性が保障されないという警告メッセージが出ます。実際、全体に公開されている通信環境は傍受されやすく、個人情報が満載の介護関連システムの利用については環境としてお勧めできかねます。ポータブルWi-Fiなど、自社で購入したWi-Fiを利用することや、Wi-fiがなくとも通信可能なタブレットとして契約しておく必要があります。その場合、通信費用は個別にかかってきますので、その費用は考えておく必要があります。

・導入負担を軽減する「0円タブレット」は存在するのか?

携帯料金の料金プランは目まぐるしく変わります。昔は実質ゼロ円でタブレットが使えるという料金プランが存在していました。

これはタブレットの端末代金と同じ金額を、月々の利用料から割り引く形で実質無料でタブレットが使えるというもの、スマホを契約すれば指定のタブレットならば子機のように無料で使用できるというものです。

昔は主要なキャリアでこのような実質割引プランによって指定のタブレットを実質無料もしくは1円で購入し、通信も同時に利用することができました。

しかし現在通信料と端末代金を完全に分離しましょうという総務省からの制限により無料タブレットは見かけなくなってきています。

しかしキャリアによっては、契約獲得のインセンティブとして、タブレットを本体一括ゼロ円で進呈します、というキャンペーンもあるようです。これはキャリアによって、また実施時期によって、適用条件が異なるため、その機会を利用したいのであれば内容を注意深く見ていくしかありません。

ただ、無料より高いものはないと昔から言いますが、このような無料キャンペーンでついてくるものは、在庫品処分だったり、評価が低いものだったり、一度壊れると修理が絶対にできないものだったりと何かしら理由があるものが多い気がします。

初期費用無料というのは大きな魅力ですが、あくまでも自分たちの事業所で使いやすいものかどうかという観点で選ぶことをおすすめします。

ですので、よく内外の調査をしないまま、出入りのIT事業者が勧めてくれたとか、今キャンペーン中だからとか、そういった理由だけでタブレットを選ばないようにしてください。

【まとめ】

いかがでしたでしょうか。

タブレットを導入時の注意点、現場の業務効率化ができるのか、他に何が変わるのかなど、介護現場でのタブレットの選び方のポイントをまとめました。

すでにタブレットを導入した事業所の結果を見ていますと、業務効率化という当初の目的以外に、情報の共有化が介護施設内で圧倒的に楽になり介護の質やサービスが上がるという効果が見られています。

職員の手間や人手を省くという効率化の観点のみだけでなく、事務作業の時短で人手に余裕ができたことにより介護の質やサービスを向上させるという、こちらの方が大きな目的ではないでしょうか。

タブレットを入れて業務効率化、省力化しようという直線的な発想もよいのですが、介護記録をデジタル化することによって情報の共有化ができる、ご利用者様の記録が検索しやすくなる、その結果、介護の質も向上し、働きやすい事業所ができる等のより大きなメリットにご注目いただければと思います。

介護記録をデジタル化するための介護ソフトを決めると、必要なタブレットはどれか、もしくはタブレットが使えずにスマホになるのか、そこも決まってきます。

既に出入りのIT事業者から、これが安くていいですよとタブレットをお勧めされたことがあるかもしれません。

が、そもそもやりたいことを実現するのに、そのタブレットでいいのか、台数はそんなに必要なのかという観点を、ぜひ持っていただきたいと思います。

※介護保険制度の詳細については各自治体の介護保険制度の担当窓口にお問合せください。

著者プロフィール

上尾 佳子

合同会社ユー・ラボ 代表
WACA上級ウェブ解析士
愛知県出身

バブル期に大手通信企業に入社し、通信システムの法人営業を経験。
1990年代、インターネット検索ビジネスを手がける新規事業部に移り、ポータルサイト運営に関わる。以後20年間一貫して、データを活用したマーケティング支援に携わる
2011年IoTスタートアップに合流、介護福祉用具カタログをデジタル化するアプリをきっかけに介護業界について知見を深め、2014年独立。
家族の遠隔介護をきっかけに、中小企業へのデータ活用したデジタルマーケティング支援を行うかたわら、介護サービス利用者家族という視点で情報発信を行っている。現在介護関係で2つのサービスを運営中。

介護のDX化、ICT化について考えるサイト「介護運営TalkRoom」

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