令和3年度(2021年)に導入された科学的介護推進体制加算、巷ではLIFE加算という通称もあります。まさしく、その年より本格稼働したLIFE(Long-term care Information system For Evidence)システムへのデータ提出とフィードバックを活用し、PDCAサイクルの取り組みとケアの質の向上の取り組みを評価する加算となります。
施行されて1年以上たった今、わかりやすく解説しながら、現状を探ります。

【科学的介護推進体制加算とは?収集の対象とする項目】

対象サービス加算項目科学的介護推進体制加算科学的介護推進体制加算Ⅰ・Ⅱ
施設系介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
介護医療院
地域密着型老人福祉施設
居住系認知症対応型共同生活介護
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
通所・
訪問系
訪問リハビリテーション
通所介護
通所リハビリテーション
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
短期入所生活介護
多機能系小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
対象サービス加算項目科学的介護推進体制加算科学的介護推進体制加算Ⅰ・Ⅱ
施設系介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
介護医療院
地域密着型老人福祉施設
居住系認知症対応型共同生活介護
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
通所・
訪問系
訪問リハビリテーション
通所介護
通所リハビリテーション
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
短期入所生活介護
多機能系小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護

※出典:すべてのLIFEに対応済み、クラウド型介護ソフトケア樹のサービス別加算対照表(表の一部)
https://caretree.jp/life202104

科学的介護推進体制加算とは、令和3年度(2021年度)施行の比較的新しい加算です。
上記の表で示しているように、施設系とその他で加算の種類が異なります。
また、一部加算の対象となっていないサービスもありますが、幅広い介護サービスが対象となっています。

令和4年に普及状況を調査した公益社団法人全国老人保健施設協会によると、特別養護老人ホーム等、デイザービス等、特定施設等での加算取得率は特別養護老人ホーム等で約6割、デイサービス等では平均すると半数程、特定施設等では約3割となっており、この調査から約1年経過した現在はもう少し普及は進んでいると見込まれるものの、取得していない事業所や施設も多くみられるようです。
※出典:公益社団法人全国老人保健施設協会 R4.4 加算算定状況等調査結果の概要

実際に、筆者の友人の話として、残業体質の現場の更なる負担が考えられるので生活相談員の判断として取得は時期尚早としている施設、担当していた人員が離職したため取得が難しくなった施設などを耳にしています。LIFEに関する加算は、ただ貰って終わりの加算ではなく、データのフィードバックを活かすという意味で、施設の持続性は重要となってきます。体制づくりが必要な点がネックになることが大きいでしょう。

【科学的介護推進体制加算の算定要件と単位】

科学的介護推進体制加算の算定要件と単位、大きく4グループに分けられます。

①施設系
<算定要件>

科学的介護推進体制加算(Ⅰ)

1、入所者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況、その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を、LIFEを用いて厚生労働省に提出していること。
2、必要に応じて計画を見直すなど、サービス提供に当たって、(1)に規定する情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。

科学的介護推進体制加算(Ⅱ)

3、加算I(1)に規定する情報に加えて、入所者ごとの疾病、服薬の状況等の情報を、厚生労働省に提出していること。
4、必要に応じて計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、(1)に規定する情報、(3)に
規定する情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。

サービス種別加算種類、単位数
介護老人福祉施設※地域密着含む(Ⅰ)40単位/月、(Ⅱ)50単位/月
介護老人保健施設(Ⅰ)40単位/月、(Ⅱ)60単位/月
介護医療院(Ⅰ)40単位/月、(Ⅱ)60単位/月

②居住系
<算定要件>

1、利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況、その他の利用者の心身の状況等に係る基本的な情報を、LIFEを用いて厚生労働省に提出していること
2、必要に応じて通所介護計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、上記の情報、その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること

サービス種別単位数
(介護予防)認知症対応型共同生活介護40単位/月
(介護予防)特定施設入居者生活介護※地域密着含む40単位/月

③通所系
<算定要件>

1、利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況、その他の利用者の心身の状況等に係る基本的な情報を、LIFEを用いて厚生労働省に提出していること
2、必要に応じて通所介護計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、上記の情報、その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること

サービス種別単位数
(介護予防)通所リハビリテーション40単位/月
通所介護※地域密着含む40単位/月
(介護予防)認知症対応型通所介護40単位/月

④多機能系
<算定要件>

1、利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況、その他の利用者の心身の状況等に係る基本的な情報を、LIFEを用いて厚生労働省に提出していること
2、必要に応じて通所介護計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、上記の情報、その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること

サービス種別単位数
(介護予防)小規模多機能型居宅介護40単位/月
看護小規模型居宅介護40単位/月

【科学的介護推進体制加算の提出頻度】

LIFE(科学的介護情報システム)」でデータの提出を行います。
利用者ごとに、下記の(1)~(4)に定める月の「翌月10日まで」に提出することが必要です。

(1)加算の算定を開始する月にすでにサービスを利用している、既利用者の場合は、算定を開始しようとする月
(2)加算の算定を開始する月の翌月以降にサービスの利用を開始した、新規利用者の場合は、サービスの利用開始した日の属する月
(3)(1)または(2)の月のほかに、少なくとも6月ごと
(4)サービスの利用終了日の属する月

(1)~(4)の情報を提出すべき月に情報の提出を行えない事実が生じた場合は届出が必要になります。
この場合、当該期間における利用者全員について、本加算の算定はできません。

【科学的介護推進体制加算 フィードバックの現状】

LIFEのフィードバック帳票では、LIFEの活用が算定要件になっている加算種別で様式を選択することによって、項目ごとの全国の集計値や分布を確認することができます。全国平均値と、自分の事業所・施設の数値を比較することによって、相対的に低くなっている部分については現状を理解しつつ、事業所内で情報共有し、その原因を検討し、改善に向けて計画を見直したり、サービスの提供方法を検討したりしながらサービスの質向上を絶え間なく行うことが大切です。

LIFE以前の世界では相対評価は基準がなく難しいものでした。今後はこのフィードバックによる数値がサービス向上の鍵になっていきます。
単位数があまり多くないという声も聞かれていますが、半年に1度の提出で毎月分の加算と考えますと決して悪いものではないように思えます。
人員不足等でなかなか活用できていない事業所・施設様も今後は活用を検討できるような状況になって行けばよいなと思う次第です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※介護保険制度の詳細については各自治体の介護保険制度の担当窓口にお問合せください。

※こちらのコラムは令和6年度介護報酬改定の内容を反映いたしておりません。反映次第、こちらの注意書きは削除いたします。