ケース記録は支援記録の事で、福祉サービスを提供する事業所や施設にとっては、提供したサービスが利用者様に対してどのように行われ、どのような状態になったのか記録を残すことでよいケアにつなげるほか、ケアに当たるチーム内や多職種連携を行う上での情報共有基盤になります。今回は、どんな書き方がよいとされているのかを解説します。

【ケース記録 とは】

記載される主な項目は下記になります。
・サービス提供を行った日付と時刻
・利用者様の個人情報(名前、年齢、既往歴など)
・提供された介護サービスの内容と結果(食事支援、排泄支援、入浴支援、機能訓練など)
・利用者様の状態(発病、疲れ、不安など)

事業所や施設の中の日々をどのようにお過ごしになったのか、日々のケアが利用者様にどのように提供され、どのような結果になったのか一目で分かるように記録を残します。記載内容は主たる筆記者だけが見るのではなく、多くの人の目に触れることになる為、主観的な感想文のような書き方ではなく、事実に基づいて客観的に淡々と記載する必要があります。

【ケース記録 目的と内容】

サービス提供の証拠や計画書へ反映させるための情報だけでなく、チームでの情報共有や多職種連携でも大きな力を発揮するケース記録は、内容は誰が見ても分かるような客観的な記載方法が必要になります。
できるだけ数値での記載が推奨されます。

例)食事量の記載  ごはんはほとんどお召し上がりになりました⇒主食9割、副食8割
例)水分量     水分は十分です⇒午前:水1杯、お茶2杯

ケース記録を記載し、ケアに当たる全員が確認することで共通認識を持ち、より利用者様に寄り添ったケアを可能とします。

【ケース記録 保管期間】

介護記録の保管は厚生労働省にて令和3年時には2年と定められました。しかし、自治体によっては介護報酬記録と同等の5年を求められる場合もあるため、事業所・施設のある自治体に問合せで確実な期間を確認しておきましょう。

【ケース記録 例文】

記録を記入する人の主観で記入するのではなく、本人に確認したり、誰が見ても明らかにそうであるといった記載が必要です。実際にあったことを淡々と記載します。

・夢の内容が楽しそうだった
 ⇒ 夢の内容について楽しかったかお伺いしたところ、楽しかったとお答えになった。

・悲しそうだった
 ⇒ 朝食後伏せがちだったため○○(支援職員名)が傾聴、TV番組の内容を見て10年前に旦那さんと友人を相次いで亡くされて悲しかったことを思い出された、との事

・お怒りの様だった
 ⇒ 情緒不安定で○○(支援職員名)の声がけに対して無視をしたり叩こうというそぶりがあった。

・お怒りで感情を爆発されていたがすぐに落ち着かれたようだった
 ⇒ ここに居たくないという発言後、事業所を飛び出された。職員が見守ったところ、50m先でケーキ屋さんと会話することで落ち着かれ、そのまま戻られた。その後は特に大きな問題なく一日を過ごされた。

ケース記録がICT化されている場合、記入者の名前は自動記録になるため、本当に事実の記載だけで良い場合もあります。また、食事や水分や排せつの記録なども定型フォーマットに数字を入力するだけの場合もあり、電子化の活きる分野であると言えます。

【最後に】

ケース記録は、その記録がそのままケアに活かされるものになります。
記載ルールを決める必要があり、情報連携の手段としての複数の職種での活用が求められます。
慣れるまでは、現場の先輩の記載方法などを参考にすることで、情報共有しやすい記入方法を見つけていけます。また、もし現場のケース記録にICTを導入していないのであれば、介護ソフト(システム)を導入することで、「ペーパーレス化での管理効率の向上」「入力や情報共有の業務を改善」などで効果を発揮し、「記録の活用」もより促進できるため、是非ご導入をお勧めします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※介護保険制度の詳細については各自治体の介護保険制度の担当窓口にお問合せください。