【看取りとは】

元々の意味は、「病人のそばにいて世話をすること。看病すること。看護。」とされています。近年では言葉のあとに介護を付けて使われることも多くなってきました。
自宅で最期を迎える方が減り、病院を希望せず、住み慣れた施設で迎えることをご希望されておられる方が増えているからです。
今回は、非常に重いテーマでもある看取りについて取り上げたいと思います。

【看取り介護とは】

看取り介護とは、身近に迫った「死」を避けられない状態にある人に対して、無理な延命を行わずに最期を迎える患者の意思を尊重し、肉体や精神の苦痛を緩和させつつ、人生最後まで尊厳のある生活を送ることを支援する介護のことです。

【看取り介護とターミナルケアの違いについて】

ターミナルケア(終末期医療)との違いは、医療行為を行うかどうかという点です。
ターミナルケアは終末期医療という日本語訳の通り、終末期における治療や看護を行います。

【看取り介護におけるケアの種類と大切なこと】

看取り介護は主に3つのケアを必要とします。
①身体的緩和ケア
②精神的緩和ケア
③ご家族のケア

①身体的緩和ケア
終末期の身体的な緩和ケアでは、日々、利用者様が穏やかに暮らせるように体調を注視するためバイタルには特に目を配らせ、本人の状態や意思、お気持ちの確認のために声がけは欠かせません。寝たきりになっている方も多いことから褥瘡予防は必須です。
排泄のケアも重要で、利用者様の健康状態を把握することができます。
痛みを最小限に和らげて、嚥下機能が低下する中でも摂取可能な食事形態を選択しながら必要な栄養を摂取していただき、体位変換やクリームなどを塗る事などでも褥瘡にならないように体を保護し、また、入浴もしくは清拭・口腔ケアなどを行い清潔な環境で穏やかに時をお過ごしいただきます。
食事・運動・入浴など日々の暮らしの中で、好みの変化にも気を付けます。
よくあるエピソードは「アイスクリームが食べたい」です。
バニラアイスが食べたくなったら、その時は近いという事例は非常に多く、それは味覚の中でも甘味、温感では冷感が優位に立つため、今、生きているということが鮮明に分かる最終手段だからではないかと言われています。

②精神的緩和ケア
死は誰でも恐怖を感じ、不安を抱きます。
中にはすっきりした精神状態でその日を待つ方もいらっしゃいますが、多くの方は自分の衰えを自覚する事だけでなく、周囲の友人や親戚などの大切な人が亡くなっていくことでも大きく落胆し、心は徐々に衰弱していきます。
利用者様に寄り添ったお声がけは必須、手や体をさすったりスキンシップをとることで、心穏やかに安定するようにコミュニケーションをとることでケアを行っていくことが大切です。また、本人が大事にしていることを尊重することでも精神的なストレスの緩和につながります。

③ご家族のケア
多くのケースで、ご家族は利用者様本人にはできるだけ最高の、充実した人生を送って欲しいというお気持ちがあり、利用者様本人はご家族にできるだけ迷惑をかけたくないという思いがあります。考え方に差があることで提供するサービス内容についても話し合いが必要となります。
このギャップはなかなか埋まらないもので、介護職はその間に立つ役割です。
また、いつどんなことが起こるかという不安こそ看取り介護の最も大きな問題です。ご家族へのご説明、連絡・相談は密に、速やかに行える状況を常に保つことが大切です。

大切な方が近いうちに亡くなるとわかっている状態は、不安や恐怖、寂しさなどといった精神的な苦痛を伴います。そういった精神的なストレスを緩和することも看取りケアにあたる介護職の重要な役割です。

【ご家族におけるグリーフケア】

グリーフケアとは身近な方を亡くし喪失感に襲われて悲しみの中にある方を支え、亡くなった方の死を受け入れ、ご納得いただき、明日に向かって進めるように支援します。
有効なのは記録だと言われています。
その方の生きた証です。写真や動画、その日の行動やそれでどんな表情をみせていたのか。
充実した最期の記録をお見せすることはご家族を立ち直らせる助けになります。必ず撮っておきましょう。

【看取り介護を行う職員のグリーフケア】

看取り介護の現場では、特に担当者にとっては利用者様への思い入れも強くなります。
ずっとケアしてきた方が逝去された時の悲しみに飲まれて精神を苛む方もいらっしゃいます。悲しみに飲まれないようにするためには、利用者様ご本人が何を希望されておられるのか、どう生きたいのかを優先的に考えること、QOLの充実を図ることで軽減できると言われています。
通常の介護ですと、ご本人様があまり乗り気でなくても機能維持や向上のために行動を促したり、お願いしてやっていただかなくてはいけないことがあります。しかし、看取り介護になりますと、今までの人生を振り返った中で思い残したことができるだけないように導いていくことが介護職に求められます。尊厳を重視しながらも、苦痛になることを無理に行うことを優先せず、笑顔やご納得した姿を多く見ることで、職員も利用者様本人の人生がよりよいものであるという自覚が芽生え、その時を迎えた時に、「この方は良い人生を歩まれた、充実した最期をお過ごしだった」と思えることで、自我を狂わせるほどの悲しみと喪失感に囚われないことができるでしょう。
また、看取り介護をする上では対応にあたるチーム作りをすること、その時を迎えた後に仲間同士で振り返る機会を持つことによっても悲しみを軽減することができます。

【看取り介護を行う介護サービス】

介護保険法の看取り介護に関する条件を満たしている施設が行います。
デイサービスでは看取り介護は行いません。基本的には老人福祉施設、グループホーム、有料老人ホームなどの入居可能な施設となります。訪問型の看護が可能なサービスでも看取りを行っている事業所はあります。

【最後に】

看取り介護は、その方が長く生きてきた中で、最期の時を見守る役割です。時代が変化していく中で、介護の持つ役割が非常に大きくなってきています。
死というものは誰にでも平等に訪れるものです。穏やかに優しい環境でその時を迎える手助けができたなら、利用者様もご納得して旅立つことができますし、ご家族も職員の方ご自身も救われます。こんなに人の感情に触れる仕事も世の中にはそんなに多くはありません。
日々対応される皆様には頭が下がる思いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。