【認知症専門ケア加算とは】

認知症介護について、国や自治体が実施又は指定する認知症ケアに関する専門研修を修了した者が介護サービスを提供することについて評価する加算です。
2021年度の介護報酬改定で、介護サービス全般の認知症への対応力を向上させるため、10の介護サービス(地域密着型を含む介護老人福祉施設、介護予防を含む認知症対応型共生活介護、地域密着型を含む特定施設入居者生活介護、介護老人保健施設、介護予防を含む短期入所生活介護、介護予防を含む短期入所療養介護、介護医療院)に加え、訪問系の4つのサービス(訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護)でも算定できるようになりました。

対象者の判定については日常生活自立度が関わっています。

日常生活自立度とは、日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者は9つのランクに分けて判定されます。日常生活自立度のランクⅡ、Ⅱa、Ⅱb、Ⅲ、Ⅲa、Ⅲb、Ⅳ、Mのいずれかに該当する利用者です。

※厚生労働省 認知症高齢者の日常生活自立度 P1

【算定要件について】

◆ 認知症専門ケア加算(Ⅰ)

1、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者が利用者の2分の1以上
2、認知症介護実践リーダー研修修了者を配置している

2-1、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者が20名未満…1名以上

2-2、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者が20名以上…2-1の条件に加え、当該対象者の数が10又は端数を増すごとに1人ずつを加えて配置

3、日常生活自立度Ⅱ以上の認知高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施
4、当該施設の従業員に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催

上記4つの算定要件を満たす必要があります。

※対象者の割合の算定方法
日常生活に支障をきたすおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者の割合は、「算定日が属する月の前3月間」の「利用者実人数」または「利用者延人員数」の平均を計算し、その数値が50%以上かどうかで判定します。
この割合は、届出月以降も毎月継続的に、所定の割合をクリアする必要があります。

◆ 認知症専門ケア加算(Ⅱ)

1、認知症専門ケア加算(Ⅰ)の2と4の算定要件を満たす事
2、日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者が利用者の20%以上である事
3、日常生活自立度Ⅲ以上の高齢者に対して、専門的な認知症ケアを実施
4、認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導などを実施
5、介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修または実施を予定していること

上記5つの要件を満たす必要があります。

◆ 単位数について

基本:認知症専門ケア加算(Ⅰ) 3単位/日
※定期巡回・随時対応型訪問介護、夜間対応型訪問介護(II)については1ヵ月あたり90単位を算出。

認知症専門ケア加算(Ⅱ) 4単位/日
※定期巡回・随時対応型訪問介護、夜間対応型訪問介護(II)については1ヵ月あたり120単位を算出。

【認知症介護に係る専門的な研修とは?】
研修は主に以下のものになります。

【認知症介護実践リーダー研修】

主催:各自治体 
研修参加要件:介護業務に5年以上携わって実務経験を積んでおり、チームのリーダーとなることが予定されている者で、かつ認知症介護実践者研修を修了してから1年以上経過している者

※自治体によって個別の要件が適用されている可能性がございます。必ず研修受講予定自治体のホームページでご確認ください。

「認知症介護指導者養成研修」

主催:都道府県・政令指定都市
認知症介護指導者とは、認知症介護実践リーダー研修修了等の一定の要件を満たし、かつ、認知症介護指導者養成研修を修了した方のことでをいいます。認知症介護指導者養成研修は、認知症介護基礎研修及び認知症介護実践研修を企画・立案し、講義、演習、実習を担当することができる能力を身につけるとともに、介護保険施設・事業者等における介護の質の改善について指導できる者を養成することを目的とした研修です。

「認知症看護に係る適切な研修」

①日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修
②日本看護協会が認定している看護系大学院の「老人看護」及び「精神看護」の専門看護師教育課程
③日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」
※認定証が必要

※介護保険制度の詳細については各自治体の介護保険制度の担当窓口にお問合せください。