介護システム・ソフトの導入は電子化・ICT化の第一歩

【ICT導入支援事業 導入効果報告まとめが面白い‼】

厚生労働省老健局の認知症施策・地域介護推進課の令和2年度調査にて公表された、介護システム・ソフトの導入ICT導入効果についてまとめられた報告書は、ICTの導入効果を確認する上では、各介護システム・ソフトメーカーサイトでは「もしかして効果を盛ってないかな?」と疑ってかかるかもしれない事例や導入効果に関して、決して偏ることのない公平なデータです。実際に費用を軽減してくれる補助金を利用した事業所様・施設様がお答えいただいたという点がリアリティーをひしひしと感じられますね。

是非、こちらを読み解き、介護システム・ソフト導入で変わる現場について理解を深めて行きましょう。

参照:厚生労働省 介護現場におけるICTの利用促進 
   1.ICT導入支援事業 (3)令和2年度 導入効果報告「導入報告まとめ資料」

【ICT導入支援事業で支援されたICT分野最多は「介護ソフト」】

介護システムをご検討するパターンはいくつもあれど、全体の47.9%という驚異の利用率となりました。この補助金を利用しての導入促進が行われた分野として最も多い比率で、2位のタブレット端末が23.9%ですので、比較した場合はダブルスコアです。
※介護システムと介護ソフトは同じものを指しています。
何故、「ICT導入」というと真っ先に「介護ソフト」が浮かぶのか。これは導入効果に答えがありそうです。
補助したICT機器種別

【期待される導入効果とは】

特に「何に期待しましたか」という質問はありませんが、それは用意された回答の中に答えがありました。
厚生労働省の用意した回答は、「直接ケアにあたる時間が増加した」「職員の心理的負担が減った」「支援の質が上がった」「業務上の単純ミスが減った」「勤務態勢が改善された」「間接業務の時間が削減された」「業務管理が効率化された」「事業所分析が充実した」というものでした。つまり、ICTを導入することにより多くの場合は上記が現場への効果として期待できるという事になります。

ICT導入の効果

ICT導入の効果 その2

【特にピックアップされた効果項目】

「間接業務の時間が削減された」

間接業務とは「情報の記録・入力や各種会議など、利用者とは直接接しない形で行う業務」と定義づけられていますが、先ほどの表からさらに発展した形で、削減時間の統計もとられています。
約10%の事業所様・施設様で180分以上の作業時間の削減を達成、約60%の事業所様・施設様で0~60分の作業時間の削減を達成していました。約27%の事業所様・施設様は60分~180分、「変化がない及び間接業務が増えた」は8%以下となりました。90%以上の事業者が間接業務の時間を削減できたという結果になっており、ICT導入の有効性は非常に高いということを示していると言えます。逆に少数になる、いわゆる「失敗した」場合にはなんらかの要因があると思われます。

「増加した直接ケア時間」

こちらは180分以上の効果は約6%となっていますが、逆に削減では少数になっていた、「変化がない及び直接業務が減った」は約31%となっています。削減した時間とケア時間の増加は一致しないことから、削減した時間は必ずしもケア時間の増加に利用されていないということになります。

【浮いた時間はどこへ】

減った時間と増えた時間が同等ではないということから、その意味としては何か他の時間に使われている「浮いた時間」ですが、おそらく事業者ごと、最も効果を発揮したかった部分に割り当てられたのではないかと考えられます。注目すべき効果としては「「勤務態勢が改善された」「業務管理が効率化された」です。
この2項目は、それぞれ、「勤務態勢が悪化していたこと」「業務管理が非効率だったこと」を示しており、そもそも改善しなければならなかったものと思われます。
つまり、浮いた時間なのではなく、そもそもあふれていたものを正常に戻したという可能性があります。

【ICT導入におけるBefore、After】

主な期待される効果は、調査の回答項目であり、「時間」「効率」「質」という部分がキーワードとなっています。もし、ご自分の現場の問題がそれらを含んでいた場合、ICTの導入によって改善できる可能性があります。
是非、問題の根幹がどこにあるかお調べつつ、介護システム・ソフトのようなICTで改善できる問題なのかどうかをご検討ください。今回の調査の元になっているICT導入支援事業も要項を変更しながら、例年施行されていますので合わせて積極的に情報収集を行っていただき、同時にご検討いただくと良いでしょう。

お読みいただきありがとうございました。

※介護保険制度の詳細については各自治体の介護保険制度の担当窓口にお問合せください。