【株式会社きずな様(滋賀県)様】の事例インタビューです。
●本コーナーでは「無料もしくは低コストのITを使って、お金をかけずに介護をより良くする活動」を行っている「NPO法人タダカヨ」さんにご協力頂き、「介護ICTに関する理解」と「介護職の知見」を活かした、ケア樹ユーザーインタビューを実施して頂きました。
株式会社きずな様は、滋賀県でデイサービスを2か所と小規模多機能型居宅介護、介護タクシー、さらに自費の介護サービスを展開されています。「介護タクシーがない」という地域の課題や、利用者様の「デイを利用した後、このまま泊まれたら」といったニーズに応えるなかで幅広い事業展開に繋がっていったそうです。
代表取締役の谷口様は、もともとは規模の大きな介護施設で長年勤められていた所から、「もっと利用者様との関わりをしっかり持ちたい」「地域とも繋がりのある事業所を作りたい」という想いのもと、平成26年に1か所目の「デイサービスほほえみ」を立ち上げられました。
今回は代表の谷口様、ケア樹の導入を中心となって進められた荷宮様のお二人から、興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。


(タダカヨ)
本日は宜しくお願い致します!
管理・運営側からは谷口様、現場側からは荷宮様と双方のお話が聞けるとの事でとても楽しみです。
ケア樹の導入に至った背景には、大きな課題として記録の時間を減らす事、紙の量を減らす事があったそうですね。
まずその辺りを詳しく教えていただけますか?

当時は業務後や業務中の記録時間が多い事が課題でした。紙の記録でも業務自体は成り立ちますが、その記録時間を削減し、利用者様との関わりにもっと充てられたら、と思っていました。

立ち上げ当初など利用者様の人数が少ない時は紙の記録でも問題なかったのですが、増員をしてからは記録そのものと管理するファイルも増え、何とかならないかと声が上がるようになりました。
記録の時は机の上に個人ファイルを山のように積み上げて、時には雪崩が起きて‥(笑)
またLIFEがスタートしてからは、必要な項目の転記や形式に応じてファイル変換を行う必要があり、いま考えると膨大な作業量でした。


(タダカヨ)
個人ファイルの雪崩は、想像のつく人が多そうです(笑)
紙の記録が無理という事はなく、問題はその量や重複する内容がある事だったんですね。
では、ケア樹の導入はどのように進んでいったのでしょうか。

他のサービスもいくつか調べたのですが、この金額でこれだけ使いやすそうならという事でお試し利用からスタートしました。他社で数百万円単位の金額のシステムも使った事があったので、比べるまでもなくかなり魅力的でした。
また、ケア樹の担当の方が介護現場に詳しく、LIFEをスタートしていく時にこんなに心強い事はないなと、最終的にはそこが決め手となりました。


(タダカヨ)
導入後、現場の皆さんはどのようにケア樹での記録を習得されていったのでしょうか。
工夫した事などもあれば教えてください。

導入後1か月は紙の記録とケア樹を併用して、「間違えてもいいから入力してみよう」という方針で進めました。もともと他の電子記録を経験したことがあるスタッフからはその操作のしやすさから「こういうのが欲しかった!」という声もあがり、1か月程で紙の記録を廃止する事が出来ました。
もちろん、操作方法について分からない事や「こういった機能はないのか」などの意見も多くあがってきたので、その点は私を窓口にしてまとめてケア樹の方に相談するようにしました。


また、誰がどの項目を入力をするかなどの最低限のマニュアルを作成し、入力漏れのないようにしました。その結果、新人スタッフさんもすぐに記録業務に対応できました。


(タダカヨ)
新人スタッフさんをはじめ、スムーズに移行が進んでいったのですね。
うまく進んだ要因となったポイントなどは他にありますか?

まとめた質問や相談はその都度すぐに、何でもケア樹の方に相談して教えてもらいましたが、「こういう機能はないのか」といった相談にすぐ対応し、バージョンアップしてくれる事が本当にありがたかったです。

「このサービスはこういう仕様です」と提供されるだけではなく、私達の色にあわせてうまく形付けしてくれたのでその点がとても良かったですね。

【ケア樹より】
・事業所様からの「操作性能向上」などの改善要望は取りまとめ、対応の必要性の判断、優先順位を整理した上で、順次バージョンアップによるシステム改善を行っております。

(タダカヨ)
紙から電子へ、ガラッと変更すると混乱も生まれやすいかもしれませんが、今までの記録の方法から大きく変える事なく、うまくケア樹に落とし込まれた事がよかったんですね。
では、ケア樹を導入した事による成果はいかがでしょうか。

課題としてあった記録の時間については、記録のために残業する事はほとんどなくなりましたし、紙の量ももちろん大幅に減りました。
あとは記録の保管してある場所にわざわざ移動しなくても、その時にいる場所から記録を確認できるので、大きな時間短縮に繋がりました。
また、スタッフが業務について色々と考えるきっかけになった事もある意味で成果だと思います。ケア樹の導入で、記録はもちろんそれに伴い業務について相談するコミュニケーションも増えたと思います。


たしかに、よくタブレットを囲んで「こんな機能があるの知ってた?」と情報共有して盛り上がっている場面を見かけます(笑)
あとはやはりLIFE関連で、今までは内容の転記やファイルの変換が必要だった所が、ケア樹の導入で不要になりましたし、申し送りノートを廃止して各自で数分で確認できるようになった事も大きいです。

(タダカヨ)
相談や、意見を出し合う事で業務そのものを見直すきっかけになった事も思わぬ成果で素晴らしいですね。新しいツールを取り入れる事にとても積極的なムードがある印象ですが、今後取り入れたい事や実現できたらと思われる事はありますか?

AIを活用した、デイサービス等の送迎を効率化する取り組みに注目しています。
既に、企業がシステムを開発して行政と提携した例がありますが、私達も多岐にわたる事業を展開する中で、ルートの重複を避けて効率良くしたり、もっと待ち時間の短縮が出来ないかと考えています。
スタッフの方々には、ぜひここで長く続けて活躍してほしいという想いがありますので、働きやすくなる仕組みに前向きでいようと思っています。

(タダカヨ)
送迎を伴うサービスを複数運営されているきずな様ならではの「もっとこういう事ができたら」という発想ですね。
ケア樹に関しても、サービスを利用するだけではなく「こういう機能はないのか」など積極的に、かつ活発なコミュニケーションを持って取り組まれた所に、導入による業務改善に成功した理由があるように思いました。
貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

谷口 石泉
役職 : 代表取締役
仕事内容: 介護職員・介護タクシードライバー・運営管理
趣味 : キャンプ・ゴルフ

荷宮 素子
役職 : 理学療法士
仕事内容: 機能訓練
趣味 : 野球応援(子供のチームとBuffaloes)

中門 千恵子(所属:NPO法人タダカヨ)
福祉系専門学校卒業後、介護職員やケアマネジャーとして様々な施設で勤務。福祉系パラレルワーカーを目指し、現在は訪問介護ヘルパーとして勤務しながら、介護保険外の個人ヘルパーとしても活動。現場で、書類の多さや職員のコミュニケーション、ITツールの課題に直面した経験から、ITの導入で介護業界で働く人達の力になりたいと思いタダカヨに参画。
介護福祉士、ケアマネジャー。
NPO法人タダカヨ
「ITを上手に使って、お金をかけずにより良い介護へ」のビジョンの元、介護業界のIT活用を支援するNPO法人です。
https://mmky310.info/