【社会福祉法人なずな(長野県)様】の事例インタビューです。
●本コーナーでは「無料もしくは低コストのITを使って、お金をかけずに介護をより良くする活動」を行っている「NPO法人タダカヨ」さんにご協力頂き、「介護ICTに関する理解」と「介護職の知見」を活かした、ケア樹ユーザーインタビューを実施して頂きました。
「目指したのは特養ではなく長屋です!」をキーワードに、もし…支援が必要になったとき自分の親や自分が入居しても良いと思える「終の棲家(ついのすみか)」となり、自宅からの暮らしの継続を実現できる場所を目指している社会福祉法人なずな様。
ケア樹を通じてLIFE加算の取得に取り組まれており、電子化の背景・現在の課題について施設長の小出様にお話しを聞きました。
ケア樹(電子記録)を活用した加算取得と効率化に興味をお持ちの法人様には、ぜひ見て頂きたい事例となっております。
小出様、本日はよろしくお願いします。
はじめに法人概要を教えていただけますか?
はじめは株式会社組織で宅老所をスタートさせ、2017年に社会福祉法人なずな「地域密着型特別養護老人ホームそのさと」として開所いたしました。
「目指したのは特養ではなく長屋です!」をキーワードに
地域密着の支援をしている法人になります。
「そのさと」では利用者数29名、20代から60代のスタッフ35名でケア樹を活用しています。
素敵なキーワードですね〜
電子化はいつ頃から取り組まれたのですか?
開業当初から電子化にしようという方針はありました。
うちはユニットケアの中で、24時間シートと言うものがありまして、
利用者が何時に起き、何時にご飯を食べるなどの
1日の生活スケジュールを記録として活用しています。
ひとりひとり違う生活として記録する中で、
紙ベースより介護ソフトの方が情報を追っていきやすいという背景がありました。
紙で管理すると利用者分の紙が必要になり記録、確認や管理が大変ですよね。
もう少し詳しく24時間シートの活用方法を教えて頂いてもよろしいですか?
人には1日の流れ、生活の軸みたいなものがあると思うのですが、
やはり人なので少しずつズレていくと思うんです。
いつもは6時に起きてるけど、今日は8時に目が覚めた。
ちょっと眠気が強いので起きずに休んでいる…なんてことも。
そんな利用者情報をうちの場合は、登録ではなく編集を活用して記録しています。
やり方としては1ヶ月の流れを先に作って(登録して)おき、
その中で「今日は8時に起床される」と編集という形で記録を追記しています。
24時間シートは3ヶ月に1度、状況変化に応じて更新し、
シートの基本はケアマネが作りますが、そこから先は居室担当のスタッフが対応します。
登録ではなく編集で追記していく。すばらしい記入方法ですね!
その日によって微妙に変わる記録を以前は手書きで書いていたのですか?大変ではなかったですか?
前身の宅老所では全部紙でやっていたので大変だったと思います。
「そのさと」ではケア樹に情報が事前に記録されている(登録の)状態から
少し書き換える(編集することで)情報を短い時間で打つことができています。
短時間で入力ができる!いいですね〜!
他にケア樹を導入してからの声はいかがでしたか?
導入したのが6年前で、私が介護スタッフだった時です。
短く打てることも良かったのですが、個人的にもうひとつあります。
実は私、あまり字がキレイな方ではなく…笑
紙で書類を作成すると、字が汚くて読みづらく、誤字脱字も多く、
他のスタッフに迷惑をかけてしまうことがよくありました。
ケア樹を導入したことで字を書く手間が省けて、とても嬉しかったのを覚えています!!
私も字がキレイな方ではないので、お気持ちがすっごく分かります…笑
書いてある情報が見やすいことは、大事ですよね。
紙ではなくケア樹での入力をすることで感じる変化はありましたか?
入力時間と入力の打ち方ですかね。
時間の短縮に関しては先ほども述べた通り、紙より格段にケア樹が効果的だと実感しています。
もうひとつの打ち方については、ケア樹で記録することで「ながら入力」が可能になりました。
スタッフが一緒のテーブルに座り、利用者とお話ししながら記録が打てています。
結果として利用者とのコミュニケーションが増え、接する時間が増えました。
すばらしいですね!記録がその場で打てることで時間が生まれる!
時間ができると利用者とのコミュニケーションもとることができる。いいですね〜
ケア樹を使いこなしている「なずな様」ですが、現状の課題はありますか?
LIFE加算の取得ですかね…
法人として取得を目指している中、今までは最小限の記録だったのを、必要な項目をどうスタッフに理解してもらい記録にしていくかが課題です。
加算を取得するために相談員と私を中心として説明会の企画、自分たちで該当情報を入力(体重、皮膚状態)して、慣らしているところです。
LIFE加算の取得!!必要項目が多いと聞いております。
取得に向けてスタッフの反応はいかがでしょうか?
ケア樹自体は6年の導入実績があったので抵抗は少ないと思います。
加算の取得にはサービス計画のPDCAサイクルをいかに管理し、情報を入力できるかが求められているなかでケア樹を導入せずに
LIFE加算の取得は考えられませんね!
ケア樹は項目がわかりやすく、LIFE対応用CSVデータの出力もできるのでありがたいです!
これが紙中心の記録の作成・管理や自分たちで情報を管理すると考えると…大変です!!汗
LIFE加算の取得のために今後、宅老所でもケア樹を視野に入れております。
【ケア樹より】
LIFE情報の登録について
令和3年度介護報酬改定において、科学的介護推進加算を始めとし、
LIFE の活用等が要件に含まれる加算が設けられ、
ケア樹でもこの動向に対応するべく、「LIFE情報の登録・出力機能」に対応しております。
加算取得に必要な項目を入力、管理がしやすい画面で操作することができます。
機能改善について
ケア樹ではスムーズに入力作業を行えるように「登録情報から反映」というボタンを設け、
既に登録済み情報(データベース)からデータを取得できる機能を有しています。
入力の手間を失くせる機能です。
機能追加当初はなかった機能ですが、LIFEを使用するユーザー様からの改修要望にて実現したものとなります。
過去に記事に掲載していただきましたとおり、
ケア樹はクラウド型ソフトのためユーザー様からの機能改修要望を受け、実装の可否や必要性、優先度を考慮した上で「無償でシステムをアップグレード」し、お客様と共に使いやすくする仕組みがございます。
※要望は必ず叶うものではございませんが、多くのユーザー様から同じご意見をいただく場合、なるべく早急に機能更新しております。
いかに適した情報を効率よく記入して、管理してくかがLIFE加算の取得のキーになるかと
今回のインタビューを見て、ケア樹を活用したLIFE加算の取得の第一歩になれば嬉しいですね!!
では次に導入の成果について教えてください。
3つありまして、
1つ目は情報の共有が早くなったことです。
紙で記入していた「事故記録報告書」をケア樹で完結するようにしました。
以前はそれぞれの事業所に印刷して回覧していており作成に時間がかかっていたのが、
ケア樹に情報を入れることで一括で全体共有することができました。
2つ目は情報が効率的に共有できるようになった点です。
以前「申し送り」を紙で行っていたのですが、今は紙とケア樹の2つで申し送りに変えました。
具体的には利用者状況は紙を使い、施設内の情報共有はケア樹を使っています。
利用者状況は、より詳細な情報が必要になるため、紙での記録が適しており、
施設内の情報共有(新規利用者・入退院・研修・催し物など)や
回覧が必要な情報(事故報告書など)はケア樹を活用しています。
それぞれの特性に応じて使い分けることで、
情報が迅速かつ効率的に共有できるようになったと感じています。
3つ目は私のデスクがキレイになりました!笑
休みの次の日は書類やメモ書き(報告書、申し送り、事務関係)がたくさんある状態でした。
優先順位が高いのに下に埋もれてしまい確認できない。
また紙が積まれていると、どれから見た方が良いのか、どれを見たのかがわからなくなってしまうことはありました。
ですが、ケア樹を導入することで紙の共有が減り、デスクがキレイになるだけでなく、書類の整理もしやすくなるので、情報管理の効率化にもつながっています。
個人的にはデスクから紙が減った件、いいですね!笑
ケア樹を導入した管理職の皆さんが「わかる〜」と頷いていると思います!
ケア樹を導入したことでの紙の管理は改善が見られてますね。
やはり紙などの書類ですと、置き場所や管理が大変で…
その点、ケア樹は情報がクラウドにまとまっているので
ファイルを取り出して情報を見る必要がない。
さらにはそのファイルを元の位置に戻す必要もない。
ケア樹内で検索をかければ欲しい情報が出てくるのも助かってます〜!
もっともっと導入を進めていきたいですね!!
これからもケア樹を活用しながらLIFE加算をはじめ、
情報共有を行い、円滑にサービス提供ができるように取り組んでいきたいです。
ケア樹を活用することで業務の改善、新しい加算取得がスムーズにできる!!
今後のケア樹活用に参考になるお話をたくさん話して頂きました。
小出様、ありがとうございました〜!
役職 施設長
仕事内容 施設長業務、施設管理、法人運営、週1回介護職員として従事
趣味 DIY、庭作り ※写真の「なずな」と「そのさと」の看板、私が彫りました。
佐藤 弦(所属:NPO法人タダカヨ)
2013年から10年介護業界(通所介護、訪問入浴、ショートステイ)で働き
ショートステイでは介護記録、SNS、ICT、ビジネスチャットの導入・運用を担当
現在は、タダカヨのライターとして活動中。
好きなものはネコとカレーライス。
NPO法人タダカヨ
「ITを上手に使って、お金をかけずにより良い介護へ」のビジョンの元、介護業界のIT活用を支援するNPO法人です。
https://mmky310.info/