【社会福祉法人宝満福祉会(福岡県筑紫野市)様】の事例インタビューです。

●本コーナーでは「無料もしくは低コストのITを使って、お金をかけずに介護をより良くする活動」を行っている「NPO法人タダカヨ」さんにご協力頂き、「介護ICTに関する理解」と「介護職の知見」を活かした、ケア樹ユーザーインタビューを実施して頂きました。

福岡県にある社会福祉法人 宝満福祉会さまは介護・看護・福祉に関する様々な事業を展開しています。1973年の創業から約50年の歴史があり、筑紫野市を中心に福岡県内で16事業所を運営。2020年には東京に進出し、特別養護老人ホームをオープンしています。

経営理念”愛と感謝”をモットーに『ご利用者様に』『ご家族様に』『職員に』『地域社会に』世界で一番たくさんのありがとうを集めております。

今回は、介護記録の電子化の背景やきっかけについて、介護ソフトの選定・導入推進に携わった特別養護老人ホームちくしの荘介護課長、百田様にお話を伺いました。

社会福祉法人宝満福祉会(福岡県筑紫野市)様
中門さん
中門さん
(タダカヨ)

本日は宜しくお願いします!
介護系に限らず多様な事業所を展開されている法人様という事で、電子化を進めていかれたエピソードも様々あったかと思います。

まず、介護記録を電子化した背景を教えてください

百田様

ケア樹を導入する前は、事業所のPCにインストールするタイプの介護ソフトを利用していたのですが、長年使った事もあり、メーカーの方から「事業所のサーバーがいつ壊れてもおかしくない」と話を受けました。そこで、サーバーが不要なクラウド型の介護ソフト導入に踏み切ろうという事になりました。

サーバーの買い替えという選択肢もありましたが、10~20年以内にまた買い替える必要が出てくるのであれば、このタイミングで切り替えるのが良いと判断しました。

以前も一度ペーパーレス化に取り組んだ事があるのですが、タブレットは使える場所が限られている問題や、パソコンの購入等費用の課題がありストップしていました。

中門さん
中門さん
(タダカヨ)

ケア樹は「価格がお手頃なのに使い易い」というアンケート結果があるそうですが価格に関する印象を教えてください。

百田様

他のサービスとも比較しましたが費用がずば抜けて低価格で、即決でした。また、今までは契約期間に「5年」の縛りがあったので故障などのリスクがありましたが、その点ケア樹は「1年」契約で利用できるのが魅力的でした。

当法人は多くの事業所があり、中には以前使用していた介護ソフトの契約が残っている所もあります。ですが、一部の事業所が従来の介護ソフトとケア樹を重複契約している状態であっても、法人全体で見ると年間100万円以上もコストダウンが出来ました。

百田様
中門さん
中門さん
(タダカヨ)

費用面でそこまでのコストダウンを見込めたなら、自信を持って導入に踏み切れそうですね。

実際の導入に当たって、課題などはありましたか?

百田様

今までのやり方から大きく変わるのでスタッフからの不安の声は多く、スタッフの習得をしっかりフォローする事が課題でした。
ケア樹の方には操作方法の勉強会を手伝っていただき、サポート体制がとても充実していて有難かったです。
私も、「サポートがあるから大丈夫!」とスタッフへ前向きに声をかける事ができました。

ケア樹を活用している様子
ケア樹を活用する様子
中門さん
中門さん
(タダカヨ)

勉強会をはじめ様々なサポートで徐々に習得されていったのかなと思いますが、スタッフさんからの「導入後の声」を教えてください。

百田様

コロナ感染症のクラスターが発生した際、現場からは「(タブレットで使用できる)ケア樹を導入していて本当によかった!」という声が聞こえてきました。
紙の記録だと、利用者様ごとや居室ごとのファイルを持ち歩く必要がありましたが、当時はもうケア樹を導入していたので、どこに居てもタブレットから入力や記録を確認する事ができました。

中門さん
中門さん
(タダカヨ)

コロナに限らず、様々な感染症を想定すると導入によってのメリットは大きいですね。

百田様

導入してすぐの時期は戸惑う事が多くても、通常の記録と、事故やヒヤリハット等の報告書が連動する機能などは同じ内容を2回記録する手間を省けるので、スタッフからは「こんな事もできるんだ!」と、使いながら段々とメリットを感じていった声もありました。

また当施設では、施設で作成した利用者様の日課計画表とケア樹の記録システムを組み合わせて活用しています。
利用者様の個々の計画をケア樹の24時間リズムシートに反映させ、タップするだけでそのケアが完了した事を記録できるようにしました。

24時間リズムシート活用例
24時間リズムシート
ケア樹導入以前の記録
過去の介護記録
中門さん
中門さん
(タダカヨ)

スタッフの方の習得に向けて努力されて、さらには独自で使いやすいように工夫もされていて素晴らしいですね!

宝満福祉会さまは多くの事業所を運営されていますが、特養以外の事業所での成果を教えてください。

百田様

デイサービスでは、未だ紙で記録を付けていた頃、同じ利用者様の記録を記入したいスタッフが重なり、順番待ちになる事がありました。ケア樹を導入した事で、複数のスタッフが同時に記録を出来るようになり効率が上がりました。

またショートステイでは、以前の紙の記録だった時、お渡しする紙と保存用でコピー誤字脱字確認などなど手間がかかっておりましたが、ご利用中の様子や夜間の様子の記録をプリントアウトし、ご家族様にお渡しできるようになりました。

中門さん
中門さん
(タダカヨ)

各事業所ならではのメリットがたくさんあったんですね。
多くの事業所を展開されている法人様だからこそのお話でした!

最後に、今後取り組みたい事を教えていただけますか?

百田様
来年、ベッド内蔵型の見守りケアシステムを導入する予定です。
今は床に敷くタイプのセンサーマットを使用していますが、オンとオフの操作が必要でかえって事故に繋がりかねない事もあります。
こちらを導入するとその操作が自動なので必要がなく、補助金を活用して導入に踏み切る事になりました。
私自身元々はワーカーなので、利用者様の安全はもちろん、働く皆さんの負担を減らしたいという思いがあります。
中門さん
中門さん
(タダカヨ)

スタッフの方々に寄り添う気持ちと行動力があって、介護記録電子化の導入を進められたという事がよくわかりました。
タブレット型の介護記録の成功を皮切りに、ますますICT化を進めて行けそうですね。
貴重なお話をありがとうございました!

■百田様のプロフィール
百田様写真

百田 和代
所属:社会福祉法人宝満福祉会
〒818-0024 福岡県筑紫野市原田462
役職:介護課長

社会福祉法人宝満福祉会 特別養護老人ホームちくしの荘で介護職員として10年間勤務。施設介護主任を経て、現在は介護課長を務める。
介護ソフトの選定をはじめ、記録の電子化やその他ICT推進に携わっている。
介護福祉士。

■インタビュアーの中門さんのプロフィール
写真 中門 千恵子

中門 千恵子(所属:NPO法人タダカヨ)
福祉系専門学校卒業後、介護職員やケアマネジャーとして様々な施設で勤務。福祉系パラレルワーカーを目指し、現在は訪問介護ヘルパーとして勤務しながら、介護保険外の個人ヘルパーとしても活動。現場で、書類の多さや職員のコミュニケーション、ITツールの課題に直面した経験から、ITの導入で介護業界で働く人達の力になりたいと思いタダカヨに参画。
介護福祉士、ケアマネジャー。

NPO法人タダカヨ
「ITを上手に使って、お金をかけずにより良い介護へ」のビジョンの元、介護業界のIT活用を支援するNPO法人です。
https://mmky310.info/